フランに続き、ギルとデリアを味方につけることができたマイン。また、神殿の仕組みもおぼろげながらに分かってきました。
今回はそんな彼女が、神殿の仕組みを理解した上で挑戦していく、という展開になります。さて、どんな無茶をしてくれるのか……(笑)
※アイキャッチ画像ならびに本文中の画像は、©香月美夜・TOブックス/本好きの下剋上製作委員会様公式HPより引用しています。
マイン、孤児院改革に乗り出す!が……?
第18話のストーリーまとめ!
マインは残り物を「神の恵み」として孤児院に持っていく際、孤児院を見たいとギルに言います。しかしそこは信じられないほど劣悪な環境でした。すえた匂いの中、死んだような目をしたやせ細った孤児たち……あまりのショックにマインは寝込んでしまいます。
起き上がったマインは、孤児院の現状を聞かされます。中央政界の政変により青色神官が減った神殿。結果として、彼らが養っていた灰色神官や孤児たちは食事を取ることすらままならなくなっていたのです。
ギルはマインに、孤児たちを救ってくれないかと懇願しました。でもフランとデリアはそんなことに首を突っ込むなと言います。マインも、自分にできることはないと思いつつも、フェルディナンドに訴えることはできる、と言いました。彼女の言葉に、ギルが笑顔を見せます。
しかしフェルディナンドは、マインの申し出をにべもなく却下します。神殿としては、孤児は育てて貴族に売るもの。さらに洗礼式前の孤児は人として認めていない。そんな孤児のために金は使えないというのです。
マインはひどい、と言いますか、今まで結構なお金を使ってきてしまったため資金を出すことはできない。孤児院の院長になり改善する方法もありますが、そんな責任を負うのも難しい。
金も出さず責任も取れないなら口出しをするな、とフェルディナンドに冷たく言われ、退散するしかなかったマイン。フランに促され読書をして気晴らししようとしますが、辛い現実が頭をかすめ、大好きな読書をしても頭に入ってきません。
夕刻、出迎えに来たルッツにこのことを相談するマイン。するとルッツは、孤児たちをマインの工房で雇えばいい、と提案します。ですが孤児たちの生活全部を見るような責任を負えるのか、どうか。マインは悩みますが、ルッツにそれより孤児が死んでいく方が辛いだろと言われ、ルッツが一緒なら!と決断します。
2人はさっそくそのプランをベンノに相談しますが、マインはまたしても考えなしと怒られてしまいました。そもそも、貴族と交渉を行う際は準備と根回しをしっかりやり、予約を取ってから面会するのが常識。マインのフェルディナンドへの直訴はそれらを全部すっ飛ばした行動だったんですね。
とはいえ、マイン工房の従業員として孤児を使い、植物紙を量産すること自体は悪いアイディアではない。さらに、実はフェルディナンドも孤児たちの境遇に歯痒い思いをし、今の神殿に苛立ちを感じているとフランから聞かされます。さっきはあんなに冷たかったのに……?マインは信じられませんが、それならもう一度、ちゃんと準備してから交渉しようと決めます。
そうした段取りをした後、フェルディナンドとの再交渉に臨むマイン。するとフェルディナンドは、彼の個室の中にある、魔法力で保護された隠し部屋に彼女を通します。書物や実験器具が所狭しと並ばれた、秘密の部屋。こんな場所があったとは……驚くマイン。同時に、人払いしてまで怒られるのか、と覚悟します。
実際、フェルディナンドの会話は説教から始まりました。先日の交渉時、すぐそばには神殿長の側仕えや、神殿長派の青色神官もいたのです。そんな中で孤児院のあり方を批判する……それは神殿長のやり方を批判していると取られても仕方ない、命知らずの行動でした。
そんな交渉方法は貴族社会ではあり得ない、青色巫女として貴族のやり方を覚えろと、ベンノと同様の叱責、いや諭しを受けるマイン。
そうした話の後、フェルディナンドはマインに問います。なぜ孤児を救おうとするのか?と。それに対しマインは明快に答えました。今のままでは気になって本が読めない、楽しめないと。この答えにはフェルディナンドも呆れ顔を見せますが、孤児院の院長に就任することは認めました。
マインを差別的に扱わず、かつ孤児院の改革にも賛同するフェルディナンド。なぜ他の神官と異なった考え方をするのか?今度はマインがフェルディナンドに問いかけます。その答えは、彼も神殿育ちではないからということでした。詳しい理由は分かりませんでしたが……。
孤児院の院長に就任すると知って、ギルは涙しながら感謝します。また、未だ神殿長と通じているデリアも、この件は見逃すと言いました。
諸々の準備が整ったマイン。さあ、孤児院の改革スタートです!
マインの本質を見抜きつつあるフェルディナンド
第18話の名ゼリフ・迷ゼリフ!
私は関わりたくないし、思い出したくない。忘れたいの(デリア)
孤児たちを助けてやってくれというギル。想像以上に孤児たちに深い情念があるところを見ると、彼の粗暴な態度は貧困から来る貴族に対する反発だったのでしょう。しかし同じく最近まで孤児院にいたデリアは、このセリフを言って孤児たちを救うことに賛成しませんでした。
このセリフの直前、彼女はあの劣悪な環境から1人連れ出されるシーンを思い返していました。おそらく、デリアはその美貌から「使い物」になると判断されたのでしょう。第17話で見た通り、神殿では女性は貴族の慰みものとして利用されますからね……一方、デリアはマインが孤児院の院長になり、改革に乗り出すことを神殿長に密告しないと言いました。
きっとデリアは、孤児たちに後ろめたい思いを抱えている。自分は助け出された。でも同じ境遇だった子供たちは今なお辛い思いをしたまま……自分だけのうのうと生きていていいのか?と悩むと同時に、あの劣悪な環境には絶対に戻りたくない、そういう後ろめたい気持ちを忘れたい。そんな複雑な葛藤を抱えていることが伺えます。
とにかく自分が生き延びることに必死なデリア。そのためには他人に構っている余裕もないし忘れたい。ですが、孤児を助けたいという気持ちはギルと同じ……この第18話では、デリアのそんな複雑な心中が伺えました。
なんか、会社みたいだね(マイン)
貴族と交渉するには準備と根回しが必要、とベンノたちから聞かされたマイン、心の中でこうつぶやきます。マンドクセーという気持ちがミエミエです。
マインは転生前は女子大生。社会人経験はなく、バイトしていたかどうかも不明。彼女の性格を考えると、そんな面倒なこと意味がわからない、と考えるのは無理がありません。
とはいえ、別に会社でなくても多くの人を納得させ動かすにはこうした根回しは必須事項。いい意見なら根回しなしでも通るはず……という考えはなかなか通用しないもの。神殿のような、本音と建前が全く異なるような組織ならなおさらです。
まぁ、本音バリバリキャラのマインがそういうの嫌うのはよく分かりますが(笑)実際、面倒くさいですしね。これも社会勉強ということで、がんばれ!
他に対して無関心な君が、孤児を救う理由は?(フェルディナンド)
マインが孤児たちを救うため奔走しているのを見て、フェルディナンドが問うたのがこのセリフです。
重要なポイントは、「他に対して無関心」というところですね。マインは割と手段を選ばずに読書という自分のやりたいことをやるため邁進してきました。フェルディナンドはまだマインとの付き合いは短いはずですが、マインのそうした性格をよく理解していることが分かるセリフです。
上で付き合いが短い、と書きました。ただ、その付き合い自体は濃密です。そもそもマインが神殿に入った理由は、身食いの魔力を解消するためと同時に本が読みたい、というものでした。平民は本の存在自体認識が怪しいのに、自身の体と同じぐらい本が大切とは。フェルディナンドにとってはかなりインパクトのある発言だったはず。
その他にも、目的のためなら手段を選ばない直球な行動が目立つマイン。短い期間ながらマインのそうした動きを見て、フェルディナンドはマインの性格を理解していったことでしょう。
そうしたマインの行動をフェルディナンドはどう思っているのかは、改めて考察パートで見ていきます。
ところで、マインは読書のためと言いつつ孤児院の改革に乗り出そうとしています。本当にマインが他に対して無関心だったとしたら、やせ細った孤児たちの姿を見てもなにも思わないでしょう。
マインですら気に病むほど孤児院がひどかったのか、それとも自分で思っているほどマインが他に関心がないわけではないのか。ここも考察パートで見ていきましょう。
マインとフェルディナンド、改革派タッグを組む!
善良をしているのではなく、あくまで普通を目指すマイン
劣悪な孤児院の環境を知り、大好きな本を読んでも気になるほど心を痛めたマイン。孤児院を改革するための準備期間として、第18話は彼女が奔走する姿が描かれました。
前回見た通り、マインはこの世界に平等や人権といった新しい概念を持ち込もうとしています。もっともマイン自体はそうしたつもりはサラサラありません。マイン自身は自他共に認めるように、自分の好きなこと以外にはそこまで関心を持たないタイプ。この世界を良くしていこう、などという気持ちを抱いているわけではありません。
マインのスタート地点は、あくまで自分自身の感覚です。転生前の麗乃の感覚として、子供が飢えて苦しんでいるのに見捨てるのは耐えられない、と素直に感じた。彼女にとっての「普通」を求めた結果が、孤児院改革に繋がったのです。
理念や思想を大上段に構えて突き進んでいくタイプのキャラクターより、素朴な見方から慈善行為を行っていく。マインのことを応援したくなる理由は、そうした等身大のものの見方が理由だと思います。
改革には後ろ盾が不可欠!
しかしそうした考え方は、この世界では異質なもの。とくに神殿では、貴族や神殿長の考え方、やり方に反するものとして問題視されかねない。
ですがここで味方が現れました。フェルディナンドです。彼自身もその出自から、現在の神殿のやり方を良しとは考えていません。一方で、貴族社会の中で物事を動かす難しさも熟知している上に、神官長という要職にあって軽々と行動することはできない。改革を心の中で考えながらも日々の仕事に追われる、そんなジレンマを抱えながら過ごしていたのではないでしょうか。
そうした彼の前に、マインが現れた。神殿においては常識知らずのはみ出しものでありつつも、その行動力は確かなものがあるし、フェルディナンドと考え方も一致している。彼にとって、これほど心強い味方はいないでしょう。
改革というのは、後ろ盾となる実力者がいると成功率がグッと上がります。その点、自身の経験、感性を元に改革のため動き出したマインと、神官長という大きな権限を持つフェルディナンドの組み合わせは、考えうる最高のタッグでしょう。
改革派というタッグを結成したマインとフェルディナンド。彼らがどう動いていくのか、大注目です!
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