孤児院改革が順調に滑り出したマイン。しかし祭りの騒ぎの責任をとって反省室に入れられ、光熱を出してしまいます。
そのころ、盟友のルッツに異変が……?マインはこの騒ぎをどう片付けるのか?!見ていきましょう!
※アイキャッチ画像ならびに本文中の画像は、©香月美夜・TOブックス/本好きの下剋上製作委員会様公式HPより引用しています。
仕事を親に反対され……ルッツ、大人になる前の試練!
第20話のストーリーまとめ!
反省室に入れられたため、高熱を出したマイン。
一方その頃、ルッツの家では揉め事が起きていました。言い争いの末、父のディードに張り倒されたルッツ。彼は家出してしまうのです。
病床のマインは彼がギルベルタ商会にいるのではと伝えますが、そこからが大変でした。ルッツの姿を見かけた兄のラルフは店の玄関で大声を上げ、ルッツを引き戻そうとします。ラルフは店から叩き出されますが、それからというもの家族が連日のように押しかけ、大声を上げたり殴り込んだり……これではルッツの立場は悪くなる一方です。
数日後に熱が引いたマインは、ギルベルタ商会に事情を聞きに行きます。ルッツはベンノと共に、商売のため別の町に行こうとしていたのです。ですがそれを聞いた父親が怒り、関係がもつれてしまった様子。この世界では、庶民は別の町に行くなどという概念がそもそもないので無理ないことです。
ですがルッツはもともと、町の外を見てみたくて商人を志しています。それを反対されたら揉めるのも仕方ないか……ベンノはルッツの今後を考え養子縁組を考えているようですが、商人にいい心象を持っていないルッツの両親が許可を出すわけがない……マインは悩みます。
が、悩みすぎて仕事の手が止まってしまっていました。これでは仕事が進まない、と判断したフェルナンドはマインから事情を聞きます。その結果なんと両者から言い分を聞き取ることになってしまいました。マインは固唾を呑んでフェルナンドの「事情聴取」を見守ることに。
フェルナンドを挟んだルッツとディード。しかしディードは口が重く、なかなか思ったことを口にせず、話が前に進みません。フェルナンドが真意を聞き出そうとするものの、ぼそり、ぼそりと言葉を発するのみ。ルッツやベンノが商人としてどうこう、と言いますが、まるで相手にされません。
しかしそうしたやり取りをする中で、ディードが実はルッツのことを認め、ルッツのやろうとしていることを見守っていることが分かりました。ディードはなにかとルッツに対し「勝手にしろ」と言っていました。それを聞いたルッツは見放されたと感じていましたが、単に口下手だからそうとしか言えなかったのです。
なんともまぁ人騒がせな親子喧嘩ではありましたが、これでルッツは晴れて父親公認で商人見習いとして動けることとなりました。マインも一安心して、つい嬉し涙を流してしまいます。
涙を流したマインに、フェルナンドはそっとハンカチを差し出しました。
そこにあった刺繍から、マインは初めて彼の名前を知ることになるのです。
第20話はここで終わりました。
騒動を通じ見えた、マインとフェルディナンド
第19話の名ゼリフ・迷ゼリフ!
子供がうじうじとしていたら気になるであろう(フェルナンド)
ルッツの揉め事に気を病んだマイン。フェルナンドに相談しろと言われてもこんな身内の話をしていいものか、と悩んでいましたが、そこで言われたのがこのセリフです。
フェルナンドがマインのことを高く買っているのはここまで見てきたとおりです。そのため平民にもかかわらず青色巫女として彼女を登用し、孤児院の院長に任命しました。仕事の面では全幅の信頼を置き、自身の思う神殿改革をマインを通じて成し遂げようという思いまで透けて見えます。
一方、この発言を聞く限り、仕事を離れた個人としてのマインに対しては、子供だからそれ相応の扱いをするという考えを持っていることが分かります。
むしろ、その考えを引き出したのは前回の「反省室事件」の影響?騒ぎを起こした責任を取らせてマインを反省室にブチ込んだフェルナンドですが、マインが倒れてしまったのを見て「仕事の面は大人ながら、心身はまだ子供」と改めて認識したのかもしれません。
より深くマインのことを理解しつつあるフェルナンド。しかしこのシーン、マインのほっぺを冷静に引っ張る姿はギャップが感じられてコミカルでした(笑)
片方の言い分だけでは見方が歪む(フェルナンド)
ルッツとディードの話し合いが無事に終わった際、マインに言ったのがこのセリフです。
これはなかなか深く、真実を突いた一言ですね。とある出来事が起きたとする。それに対する人の見方というのは個々人で大きく異なるもの。簡単に白、黒つけられることは少なく、立場によって見方が正反対、ということは少なくありません。
一連の出来事に対し、マインはルッツに過度に肩入れして話をしていました。それはある意味当たり前で、マインはルッツと行動を共にし、彼の考えもよく知っていましたが、一方でディードと話をしたシーンはありません。おそらく面識はあるのでしょうが、しっかりと話をしたことはなかったと思われます。なにせディードは職人気質で、言わなくても分かるという気持ちが強いですからね。
ここで普通の人間なら、マインから聞いた話を元にルッツに肩入れしがちですが、フェルナンドはそうしませんでした。これはおそらく、フェルナンドが神官長という役職にあるため、こうした揉め事の仲裁をこれまで何度もしており、そうした揉め事には両者に言い分があることをよく知っているからでしょう。
物事の解決には片方だけの言い分では不完全であることを、行動を通じてマインに示したフェルナンド。これからマインは様々な揉め事に直面していく立場にあります。そうした際に取るべき行動を口ではなく身を持って示した、という点でなかなかクールですね!
作品の底流に流れる「最後は気持ち」
名前知らなかったんかーい!(笑)
最後のシーンで初めてフェルナンドの名前を知ったマイン。知らなかったんかーい!と突っ込んでしまう一方で、確かに言われてみればこれまでに自己紹介したシーンはありませんでした。マインとフェルナンドが出会った際は高熱で倒れたり魔力があることが発覚したりとそんな雰囲気ではありませんでしたし、神殿に出仕するようになったからは改めてそんな話をしなくても、的な雰囲気が両者にあったのも確かですからね。
さてこの作品、全体的に出てくるテーマとして「家族愛」があります。この第20話では、理屈でルッツの将来を語るベンノに対し、父親としての感情を全面に出したディードが最後に勝つ、という展開になっています。ベンノやフェルナンドなど独身組はその態度に一定の敬服を示しているようにも見えます。
よくよく考えると第1部でもそんな話の流れがありました。マインは身食いを解決するため神殿に入ろうとしますが、住み込みでは家族と共に過ごせなくなるため、神殿入りを諦めるという話の流れがありました。結果的に青色巫女として通いで神殿に行くことになったためよかったものの、そうでなかったとしたら、マインは1年ほどで命を落とすことがわかっていた中で家族を取る、という決断をしているわけで、これはなかなかできることではありません。
また本作に出てくる父親はパワフルで家族愛にあふれています。マインの父であるギュンターもそうですし、ルッツの父であるディードも、ちょっと不器用(ディードはちょっとどころではありませんが)なところがありながらも体を張って子供を守る、という強い気持ちを持っていました。昨今のアニメや漫画ですと父親の存在感が少し薄くなりがちですが、本作だとそんなことはな、く存在感全開で目立ってます。
「途中までは理詰め、最後は感情」という展開が面白い
さらに言えば、本作は全体的に「途中までは理詰め、最後は感情」という傾向にあります。第1部の最終話、神殿長とマインの交渉でも、マインは途中までベンノに教わった理屈を武器に交渉するものの、ギュンターが押さえつけられてからは感情(=魔力)をむき出しにして神殿長を納得させました。この第20話も、途中まではベンノがいろいろと理屈で話を進めるものの、最後はディードの気持ちが上回る、という展開でした。
最終的には気持ちが強い人が勝つ……確かにそういうところはあるでしょう。そして少なくない人がそう思っているし、そうありたいとも思っています。そうした点をズバッと表現する本作はなかなかストレートで、だからこそ見ていて引き込まれるのかもしれません!
物事には様々な側面がある、ということを学習したマイン。そして家族の絆は強いとも知ったマイン。マインは神殿に来てから様々な出来事を通じ急速にいろいろなことを学習しています。その学習効果がここからどう発揮されていくのか?そこに注目したいと思います!
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