【番外編】「ダイの大冒険」特集!今度こそちゃんと終わるの?ビジュアルはどうなる?気になるあの点を考えてみた!

© 三条陸、稲田浩司/集英社・ダイの大冒険製作委員会・テレビ東

「ダイの大冒険」特集第二弾!今回は少しマニアックな視点で、初代で「?」だった気になるあの点がどうなるか、考えてみたいと思います。

「ダイ」=打ち切り?新作がラストまで描かれるかを考察

初代は中途半端な終わり方……今度は大丈夫なの?

「ダイの大冒険」のアニメを語る際、当時のファンの多くが語る最初の言葉……それは

「打ち切りになった作品だよね?」

という誠に不名誉なものです。

確かに初代の「ダイの大冒険」は第46話まで放映されていますが、原作を知っているファンからすると非常に中途半端なところで終了してしまいました。もちろん大魔王を倒してもいませんし、世界を平和に導いてもいません。

どうしてそんな中途半端なところで終わってしまったのか?これは様々な理由があるようです。そもそも原作が連載中で、アニメのペースだと原作を追い越す状態だった、とか、放映したTBSの大人の事情、とか、ネットを調べるといくらでも出てきますが、ここでは断定はしません。

竜騎将バラン。初代はこの強敵との戦いの途中で終わっています。せめて、バランとの戦いを終わらせてから終了すればもうちょっと評価も変わったと思うのですが……。
© 三条陸、稲田浩司/集英社・ダイの大冒険製作委員会・テレビ東京
© SQUARE ENIX CO., LTD.

とにかくファンとしては、「初代は1年もかけて中途半端なところで終わったけど、新作は大丈夫なの?」という心配が先に立つかと思います。

私もこれを意識しつつNetflixで見てみたのですが、私の結論は「今度は大丈夫」というものです。ちゃんと最後まで放映してくれるだろうという確信があります。

その理由ですが、初代は非常にスピード感が遅い。例えばクロコダインが登場してから2回の戦闘を経て打ち倒すまで、初代は9話も費やしています。途中でマァムとの出会いのシーンやポップの覚醒するシーンがあるとは言え、長すぎです。これは現在のアニメシーンからするとかなりノロノロな進行であり、現在のアニメファンの感覚からするとはっきり言ってかったるい。また、原作にはなかった勇者でろでろのギャグエピソードなども挟まれており、「これ必要?」と思ってしまうこともあります。

このように、初代を見ると当時と今のファンのアニメ(さらに言えば広い意味でのコンテンツ)の楽しみ方に対するスピード感の差を強く感じます。コンテンツが少なかった当時はこれぐらいのスピード感でゆっくり楽しんでいくことが許されたものの、時間がいくらあっても足りないほど大量のコンテンツが存在する現在は、ファンもとにかくたくさんコンテンツを楽しみたいと考えています。その要望に対応し、コンテンツ側も鑑賞(嫌な言い方をすると消費)するためのスピード感をアップさせていると考えられるのです。

30年前とは全く違うアニメ事情。今度はきっと大丈夫!

「ダイの大冒険」が放映された30年前はアニメも52話(4クール、1年)、20年前は26話(2クール、半年)がスタンダードでした。しかし今は、12話(1クール、3ヶ月)が基本です。むしろ2クールは長い、と思う読者の方も結構いるのでは?

そういうファンが少なくない現代で、初代のようなスピード感で話を展開しては、ファンが途中で離れれてしまうのは目に見えています。先ほど例に挙げたクロコダイン編なら、4話、長くても5話ぐらいでまとめるのがいいのではないかと思います。このようにして現代のアニメファンのスピード感に合わせていけば、長大な「ダイの大冒険」とはいえもっとコンパクトにまとまるだろうと私は思っています。

獣王クロコダイン。本編においてダイが最初に戦ったボスキャラです。私はクロコダイン大好き!でも超強いはずなんですが、後半はかませ犬的に扱われるのがちょっと残念……(笑)
© 三条陸、稲田浩司/集英社・ダイの大冒険製作委員会・テレビ東京
© SQUARE ENIX CO., LTD.

さらに言えば原作自体、終盤は少し時間を掛け過ぎなところが見受けられます。これは完全に邪推ですが、ジャンプは人気作になると連載を引き伸ばす傾向にあり、本作もそうではないか?と思われる「なくてもいいんじゃん?」なエピソードが見受けられるのです。

原作が終了した今となっては、作品として魅力的なポイントはすでに明確になっていますから、そこを軸にストーリーを一部再構成し、その上で現在のアニメファンのスピード感に応えた作品にすれば、78話(6クール、1年半)または104話(8クール、2年)あれば十分に魅力を伝えることができるでしょう。52話(4クール、1年)で全編を描くことも可能ではないかと思いますが、そうなると原作エピソードがかなり再構成されるのでファンから批判される恐れもあるかな……と予想します。

他作品との比較で考えてみます。近年で言うと、「ダイヤのA」が2015年10月から2年半かけて放映されましたが、その分量がコミックス47巻分になります。「ダイの大冒険」はコミックスは完結まで37巻ですから、これと比較すれば2年というのはちょうどいい感じになりますし、ポイントを絞れば1年半でも可能かなと思います。

いろいろと根拠を出して考えてみました。ただそれ以上に、また中途半端な作品にしてしまうと金字塔を打ち立てたはずの原作に対し「2度も中途半端なアニメ化をされた作品」という泥を塗る事になってしまいますから関係者もそれはやらんだろう、という玄人的な見方もしているんですけどね(笑)

ちょっと「…」だった作画はどうなる?

正直ショボい初代の作画。これも時代の違いか

初代を見ていて思ったこと……

「作画がひどい」

率直に言って、そう思いました。

話ごとの絵のクオリティに大きなばらつきがあるどころか、話の中でもキャラの描き方が違うなど、現在の視点から見ると「これはちょっと」な感じの作画になっています。

私はあまりビジュアルにこだわらない方ですが、そんな私から見ても「うーん」と思ってしまうレベルということは、ビジュアルにこだわるファンからすると目も当てられないレベルかもしれません。

初代のOP映像。さすがにOPはちゃんとしたクオリティですが、本編はというと……

ただこれは時代背景を考える必要があります。当時アニメはまだまだ「子供の娯楽」として位置づけられており、はっきり言って軽んじられるメディアでした。作画についても「ダイの大冒険」が特別ひどいというより、当時だとまぁこんなものみたいなところがあります。

あれから30年経ち、スタジオジブリの活躍や、「新世紀エヴァンゲリオン」のような大人が鑑賞しても耐えうる作品が出てきたことで、アニメというメディアの位置づけも変わってきました。子供の娯楽だけでなく、大人が見ても楽しめるものとして認識されつつあります。

ビジュアル面でも30年間の進化を感じられるはず!

そうした認識を受けて、技術が進化していきました。これはセル画からCGになったというハード的な技術もそうですが、作品全体のクオリティをアップさせる組織体制についても言えます。

注目したいのは作画監督の数です。近年の作品ですと、作画監督が複数いる体制は当たり前になっています。30年前は一人が基本でした。原画マンの数も30年前と今だと大違いですし、当時は第2原画なんて表に出てきませんでした。今のアニメは30年前に比べてものすごいリソースを投入してクオリティ高く作られていることがわかります。

現在公開されているOP映像!初代と比べるとあらゆる部分で違いが出ていますね。ただ現在はOPEDがアーティストの提供曲になることが多くあまりアニソン感がありません。そこはちょっと残念かな……。

インターネットで個人がSNSを使ってアニメを語ることが自然なこととなった今、ちょっと作画に変化が出れば即「作画崩壊w」などと騒がれてしまう時代の荒波に揉まれてきた中で、日本のアニメ業界や中のスタッフたちが長い長い年月をかけて進化しているのだな……と改めて感じます。まぁ結果としてアニメーターはものすごい大変なことになるわけですが……これはまた後日。

なんにせよ、「ダイの大冒険」のプロモーションムービーやキャラクター紹介を見ると、作画面でも初代とは比べ物にならないクオリティになっていることに驚かされます。この作画のレベル感であのストーリーを描いてくれればすごい作品になるぞ!という期待がありますね!

2回に分けてお送りしました「ダイの大冒険」特集。気づけば10月もすぐそこです。どんな作品になるのか、今から本当に楽しみです!!