自身の走る理由について悩んでいたトウカイテイオー。ですがライバルであるメジロマックイーンの言葉を受けて、目に力強さが戻ってきました。
さてそのメジロマックイーンも復帰し、天皇賞3連覇という偉業に向けて動き出します。ただ、それを阻止するかもしれないあのウマ娘の動きが何やら不穏で……?
第7話、見ていきましょう!
※アイキャッチ画像ならびに本文中の画像は、© 2021 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 2」製作委員会様公式HPより引用しています。
アンチヒーローは嫌!ライスシャワー心の叫び
第7話のストーリーまとめ!
メジロマックイーンは復帰し、即1着を取る活躍を見せました!まもなく春の天皇賞、3連覇がかかるメジロマックイーンは注目を集めます。
メジロマックイーンの対抗格として注目されているのはライスシャワーです。ミホノブルボンの3冠をストップさせた「黒い刺客」、メジロマックイーンの3連覇も阻止するのか、どうか?
ですが、当のライスシャワーは天皇賞への出走を辞退すると口にしています。強いライバルを倒して勝つことに意義を感じるメジロマックイーンはガッカリしますが、そんな彼女のため、トウカイテイオーはライスシャワーに天皇賞辞退の理由を聞くことにします。
ライスシャワーが口にした辞退の理由は、アンチヒーローになりたくないからでした。キラキラしたものに憧れていたライスシャワーは、ミホノブルボンこそがそのキラキラしたものだと思い、彼女に憧れ、頑張ってきました。
ですがミホノブルボンに勝ったものの彼女を待っていたのは「ミホノブルボンの3冠が見たかった……」というため息でした。ヒールは嫌だ、望まれない勝利はもう嫌だ……それがライスシャワーの天皇賞辞退の理由だったのです。
理由は聞き出せたものの、出走へ説得することはできなかったトウカイテイオー。ですがそこに、ミホノブルボンが加勢します。ミホノブルボンはライスシャワーに対し、自分の目標であり続けてくれと言いました。かつてライスシャワーの目標だったミホノブルボンから、目標であると言われたライスシャワーは笑顔を見せて、天皇賞出走を決意したのです。
第7話はここで終わります。
かつて憧れたあの人に憧れられる……ライスシャワーとミホノブルボンの物語
第7話の名ゼリフ・迷ゼリフ!
誰もライスが勝つことなんて望んでなかった(ライスシャワー)
キラキラとした存在であるミホノブルボンを倒し、自分自身が祝福されることを願っていたライスシャワー。ですが彼女を待っていたのは、ミホノブルボンの勝利を期待するファンからの冷たい視線でした。ライスシャワーはどちらかというと内向的な性格のようなので、これは心が折れるでしょう……。
スポーツにおいてヒーローとアンチヒーローの物語はつきものです。ただ、これが競馬を始めとした公営競技ですと話が違ってきます。
なぜなら、ギャンブルでもある公営競技では人気薄の馬(選手)が勝つと高配当が出る仕組みになっています。そしてそれを狙う「穴党」と呼ばれるギャンブラーも少なくありません。穴党は「強いけど人気がない馬(選手)」が大好きですからね。どんな馬(選手)でも、勝利を願うファンが必ずいるのが公営競技の世界と言えます。
そしてリアル世界で私が見る限り、人気があろうが人気薄だろうが、勝った馬や騎手に向かって冷ややかな反応を見せる人はあんまりいないかなと思います。人気薄が勝てば的中した穴党はが熱狂するのはもちろん、それ以外のファンも「すごいな、よくやったな!」的な反応を見せることが多いですし。
これについては語りたいことが多いので、考察パートでも触れたいと思います。
だからといってレースから逃げるのはウマ娘として間違っていますわ(メジロマックイーン)
ライスシャワーがアンチヒーローになりたくない、という理由で天皇賞への出走を辞退しようとしている、と聞いたメジロマックイーンはこのように漏らします。
前回、メジロマックイーンは「勝ちたいと思うのはウマ娘の本能」と口にしています。勝利のために自分自身を厳しく追い込むことができる彼女からすると、勝負から逃げるというのはあってはならない選択肢なのでしょう。
思えば第6話もそうでしたし、次に見るミホノブルボンのセリフもそうですが、「なぜ彼女たちは走るのか?」という問いかけは、第2期を貫く物語の「縦軸」となっているように思えます。ここはこの後の話でも触れていきたいですね。
ところでこの直後、メジロマックイーンは「走る前から勝つつもりだなんて」とライスシャワーの言葉に注文をつけています。もっとも、その表情は不敵な笑み。
レースから逃げ出すようなウマ娘は論外だけど、強い相手は大歓迎……メジロマックイーンの「走る理由」は一貫してブレてないことがよく分かるシーンでした。
あなたは私のヒーローだからです(ミホノブルボン)
トウカイテイオーと共にライスシャワーを説得しようとしたミホノブルボン。逃げ回るライスシャワーにようやっと追いつき、説得する際に発したのがこのセリフでした。このセリフと同時に、負けて3冠の夢が破れたが、それ以上にライスシャワーというライバルを倒す夢と希望が生まれた、とも言っています。
ミホノブルボンは2冠を取ったスーパースターであり、ライスシャワーの憧れの存在でした。しかしその憧れの相手は、実は逆に自分のことを目標としていた。つらい怪我と戦うためのモチベーションにしていたことが分かるのです。
最終的にライスシャワーが天皇賞出走への決意を固めたのは、このミホノブルボンのセリフでした。自分はアンチヒーローだ、嫌われ者だ……と思い込んでいた彼女にとって、憧れていたミホノブルボンのこの言葉ほど強く響くものはなかったでしょう。
ライバルと書いて友と読む……スポーツ漫画ではお決まりの設定ながら、1番熱くなる設定であることも間違いありません。
こういう形でその鉄板設定を盛り込んできた本作、素晴らしいですね!
スポーツ報道、競馬報道の昨今を考える
勝利の価値に大小をつけがちなスポーツ報道、ファン心理
ファンに祝福されたくて、祝福されるミホノブルボンを目標にしてきたライスシャワー。ですが実際にミホノブルボンに勝ってみたら、待っていたのは祝福ではなく冷たい視線だった……やっている本人的にはたまったものではない話です。
ですが実際のスポーツ報道を見ていると、ライバル対決に色を付けて報じるケースはままあるように見えます。片方の選手にファンが多く、片方の選手にファンが少ない場合、ファンが多い選手を主役にして、負けてもその選手を中心に報じる。その方が受けが良く、新聞であれば売れるし、テレビであれば視聴率が取れるからです。
サッカーやオリンピックの日本代表ならそれでもいいでしょうが、そうでない場合、片方の方だってファンがいるんだからそんな贔屓目はちょっとどうなのかなーと思うことはあります。スポンサー的なお金が絡んでいる話も少なくないので、なおのこと。
そしてそれ以上に気になるのは、日本人選手と外国人選手の関係の場合です。あからさまに日本人選手を中心に報じるケースもあり、それってちょっとどうなん?と思います。
でもそれも、結局はファンが望んでいるからやっている訳であり、一概にマスメディアだけの責任というわけでもないのがまたややこしい。
どの選手も勝利のために等しく努力してきたのに、ファンやマスメディアの都合でその価値に大小をつけるやり方は感心できません。
かつてと今でちょっと異なる競馬報道
さて、競馬を含む公営競技の報道はどうなっているかを考察しますと、過去と現在ではかなりの違いがあるように見えます。
というのは、過去の競馬中継を見ると割とスターホース中心に実況を組み立てていることが分かります。その中で、確かにライスシャワーはアンチヒーロー的な扱いを受けていましたし、鞍上の的場均がそのことについて不満を述べたこともありました(詳しくはコチラ!)。
ただ、近年ですとこういう贔屓目全開の実況はあまり見られないように思います。上記で触れた通りどの馬にもファンがいて、むしろ人気薄の馬を熱く応援する穴党がいるから……というのもありますが、私はそれ以上に今述べた「スターホース」を意図的に作る仕組みや必要性があまりなくなってきた、というのもあるかと思います。
かつてはテレビ新聞雑誌でしか、競馬情報を得ることはできませんでしたし、ファン側が情報を提供する場は非常に限られていました。「巨人、大鵬、卵焼き」と言われる人気のものを扱えばファンが喜ぶし、見方を変えればメディアが人気者を作る仕組みでもありました。しかしインターネットの発達で競馬情報の幅は広がりましたし、ファン側からリアクションする機会も大幅に増えました。
そういう中にあってはファンのニーズも多様化してきておりスターホース一頭に皆が注目する……という状況ではなくなってきておりますし、あまり贔屓が過ぎるとSNS等で批判の対象にもなってしまいます。それを恐れて結果的に公平に……というのは、競馬に限らず多くの事柄で起きていることではないでしょうか。
ライスシャワーがアンチヒーローとして描かれる、という話は第8話でもおそらく出てくる話かと思いますので、引き続きこの点を次回も触れていきたいと思います。
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