「弱キャラ友崎くん」 11話 感想 ~ ここにきて決裂!「やりたいこと」を巡って言い合う文也と葵

©屋久ユウキ・小学館/「弱キャラ友崎くん」製作委員会

何のかんので7月も半分過ぎてしまいました。同人活動していたとか理由はあるものの、期の変わり目にサボりがちなのは良くないくせ……
例によって夏クールを先行させようと思いますが、どれだけかかっても冬クールのレビューはテーマ通りやりきりたいと思います。

さて本作も終盤。リア充キャンプからの花火デートと話が続きますが、思いもよらぬというか、予想通りというか、そんな展開が待ち受けていました。見てみましょう!

※アイキャッチ画像ならびに本文中の画像は、©屋久ユウキ・小学館/「弱キャラ友崎くん」製作委員会様公式HPより引用しています。

第11話、ストーリーまとめ!

孝弘の告白、風香とのデート、からの葵との決裂?!

合宿の深夜、皆が寝静まったあと文也と葵は課題について反省会を開きます……が、そこに孝弘がやってきて、葵と話し込むことに。孝弘はそこで本音を吐き出しつつ、葵の本音を引き出そうとしましたが、葵は結局最後まで本音を口にしません。孝弘のダメ元告白も断りました。

それを見ていた文也。風香と約束の花火大会に行きます。文也は決意して、話題の暗記カードを無視して話をしました。会話はたどたどしく、沈黙も長めですが、風香はそれでも前回よりずっと喋りやすいと言ってくれました。

いい感じの花火デートでしたが、文也は風香に告白しない選択をしました
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これを聞いた文也は決意し、葵を呼び出します。本音を隠し、仮面をつけたようなやり方は違うんじゃないか、もうやめないかと気持ちをぶつけていきます。

しかし葵はこれに失望の表情を見せました。目標に向かって努力するのが2人の共通項だと思っていたのに、違っていたと。文也にほぼ絶縁宣言をして、2人は別れることに。

第11話はここで終わります。

第11話、名ゼリフ・迷ゼリフ!

葵は、いつまでそっち側にいるんだ?(孝弘)

ピックアップしたいセリフが多すぎな第11話。話が大きく動いた第11話。ここではセリフを通じて、話の軸をしっかり見ていきたいと思います。

まずは葵と孝弘の会話から。孝弘はこれまでの上手く取り繕った言葉を捨てて本音を口にし、その流れから葵の本音を引き出そうとしました。それに対し葵は、本音を口にした風……を装いつつ、完全に本音を見せることはしません。そしてそれは、文也や孝弘に見抜かれています。

その勢いで孝弘は告白……しますが、孝弘は葵が本音を出さず仮面をつけたままであることを見抜いていました。このタイミングで告白すればダメな可能性は高いと知りつつ告白しているのです。これは器用な孝弘らしくない行動です。

最後まで平行線だった2人の会話。孝弘の今後が気になります。
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器用に取り繕って上手いこと人間関係をやっていく、作中の言葉で言えば「仮面」を孝弘は捨てた。でも葵は捨てていない。このセリフは「そっち側」というのは仮面を被って話す人を指していることが分かります。孝弘が敢えて玉砕覚悟で告白したのは、単に付き合う、付き合わないということではなく、葵の本音をいつか引き出したいという挑戦状的な意味がありそうな気がします。

いつもの笑顔ではなく、ちょっと残念そうな表情でこのセリフをつぶやいた孝弘。ですが葵は、それでも笑顔を崩しません。演出面でも、2人がすれ違っていることがしっかり描かれていてとても印象的でした。

あなたも違うのね(葵)

風香とのデートで課題をスルーした文也。人とのつながりを課題とか目標とかで判断するのはおかしいんじゃないのか、仮面をつけたような人生ではなく本当にやりたいことをやる人生を歩むべきではないか?と言いました。

ですが、葵はそんな文也の言葉を全否定します。本当にやりたいことなんて存在しない、そんなものは一時的な幻想で勘違い、生産的な行動じゃない、成長を放棄している……ボロクソに言っています。また表情も、孝弘には見せなかった本気でガッカリした表情を見せつけています。

友達いっぱいの葵、でも分かり合える相手はいない?
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ここで重要なのは、「目標のために努力するのが私とあなたのやり方だった」という一言。そもそも2人はアタファミの好敵手であり、ゲームに対しては目標を立ててそれをクリアするため努力するという姿勢で取り組んできました。葵は人生そのものにおいてもそれを実践しており、文也はここまでそれに同調してきました。

ですがここに来て、文也は葵の価値観に疑問符をつけました。分かり合えると思っていた相手と分かり合えなかった……葵のがっかりした気持ちが、セリフから、表情から視聴者に伝わってきます。

沈黙の間に、乾いた音で流れる案内放送。2人の決裂が印象的に描かれていたのもインパクト大でした。

俺が弱キャラだからだ(文也)

決裂してしまった文也と葵。このセリフの直前には、しっかりと向き合えば分かり合える、その上で前に進みたいという文也の気持ちが説明されています。そしてそれができないのは、自分が弱キャラだからなんだと、自分の人間力の低さを責めています。タイトルにもなっているワードを、第11話という重要な話のラストで非常に効果的に使っており、非常に印象的です。

このセリフを含めた第11話全体の総括を、考察パートでしていきたいと思います。

第11話考察:視聴者の疑問に応える良質な作り!

でもこの展開で、最終回はどうまとめるんだ?

第11話のサブタイトルは「たった1つの選択肢がすべてを変えてしまうこともある」でした。葵に対して感じた違和感をぶつけ、理解し合おうとした文也。ですが葵はそれを受け入れず、2人の関係が崩れてしまう。この展開はどこかであるかと思いましたが、孝弘の告白から風香とのデートを受けての駅での決裂という流れの中で出てきたのは上手い展開でした。

当ブログでは何度も、葵の言う「人生というゲーム」の攻略について疑問を投げかけてきました。その途中経過として出てきた風香と付き合うという課題も、風香にとっての一大イベントになる男女交際を「課題」と言っちゃっていいのか?とも疑問視しました。第11話でも葵は「生産性」という言葉を使っていますが、人間関係に生産性もクソもあるかと思いますし、そんなことを考えながら接する相手と仲良くなりたいとはあまり思いません。そもそも、葵が言う人生の目標とは誰がどうやって立てたのか?その目標は真に葵自身が求めるものなのか?ツッコミどころはいろいろあります。

葵を全否定して終わるのも後味が悪い……
©屋久ユウキ・小学館/「弱キャラ友崎くん」製作委員会

第11話では、孝弘が、そして文也がそうした疑問に答えを出しました。人間関係は話術、技術で取り繕うものではないと。視聴者が感じていたモヤモヤに対し2人が答えを出すような展開になっているのは見事だなと思うと同時に、原作が継続している作品にも関わらずアニメで放映される短い時間の中で、一定のところまでうまくまとめてきたなとも感心します。

ただこれだけだと、葵の価値観をただ否定しただけで終わってしまいます。文也は否定したいのではなく、葵と分かり合いたいと思っています。残りは1話。決裂した文也と葵はどう関係性を取り戻すのか?それとも取り戻せないのか?そこに注目しながら見ていきたいと思います。

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