【番外編】「ダイの大冒険」特集!なぜ「ダイ」は人気作になった?今だからこそ言える「ドラクエ」シリーズの偉大なポイントとは?

© 三条陸、稲田浩司/集英社・ダイの大冒険製作委員会・テレビ東

赤木です。
約2ヶ月、ブログを放置してました。
理由は色々ありまして、仕事が忙しかった、とか、同人誌(こちらのアニメ評論本に毎回投稿させていただいています。詳細はまたいずれ!)お手伝いしてた、とか、あるんですが、もう1つの理由は……

「ダイの大冒険」見てました。
Netflixで。

新作のキービジュアル。メチャかっこよくなってますね!
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言わずと知れたジャンプの名作漫画!私自身もこの作品が大好きで、長期休みになると実家でいつも繰り返し読んでいます。

そしてこの10月から新作アニメが放映されると知り、「そう言えば当時のアニメってどんな感じだったかな……」と思い、なんとなく再生ボタンを押してみたら、結果的に全部見ることになりました。そしてついでに、ちゃんとやったことがなかった「ドラクエⅠ」もプレイしました。結果として、「ドラクエとはなにか?」を改めて考えるよいきっかけになりました。

せっかくなので、2回に分けてそこで考えたことを披露しつつ、「ダイの大冒険」を取り上げていきたいと思います。

ドラゴンクエストを改めて復習!

今なお受け継がれる「勇者」と「魔王」のギミック

「ダイの大冒険」の正式名称は「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」です。1989年から1996年の7年に渡り、週刊少年ジャンプで連載されていました。

「DRAGON QUEST」と銘打っている通り、本作はゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズとのタイアップ作品です。ゲームファンならずとも「ドラクエ」の名前を知らない人はいないでしょう。私も小中学生の頃、ドラクエは熱中してプレイしました。

ドラクエシリーズの基本的な構造は、一言で言えば「勇者が魔王を倒す」ストーリーです。魔王によって闇に覆われた世界で勇者が戦い、最後は魔王を倒して世界を平和に導く……という話であることもまた、ゲームファンでなくてもなんとなくご存知でしょう。

記念するべき第1弾、「ドラゴンクエスト」。ですがこの段階では、敵はまだ魔王ではありません。タイトル通り、竜の王である竜王が敵となっています。
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ここで注目したいのが、「勇者」と「魔王」です。

近年の異世界もの作品ですと、この「勇者」と「魔王」というキーワードは非常に数多く使われています。基本中の基本である設定であり、これをストレートに描くとありきたりだから、そこからどうひねっていくか、みたいな勝負になっている感があります。

こうした現在の作品の土台を形作っていったのが、この「ドラクエ」シリーズであると言って間違いありません。さらに言えば、異世界もの作品の基本である「剣」「魔法」「魔物」といったギミックも、その多くが何らかの形で「ドラクエ」シリーズの影響を受けています。

つまり「ドラクエ」は30年以上に渡り日本のファンタジーシーンの土台となり、牽引してきた作品なのです。そう考えるとその凄さが改めてわかります。

「勇者と魔王」を形作った「ドラゴンクエストⅢ」

もうちょっと深堀りして考えてみましょう。「ドラクエⅠ」をやって気づいたのは、「ドラクエ」シリーズにおいてもこれらのギミックは少しずつ変化、進化していることです。

勇者が主人公である点は、「ドラクエⅠ」の時点で固まっていますが、相手が魔王かどうか?は、実は「ドラクエⅠ」や「ドラクエⅡ」ですとまだ固まりきっていません。

というのは「ドラクエⅠ」ですと竜王が、「ドラクエⅡ」ですと邪神とその司教(ハーゴンですね)が敵として定められています。彼らは魔物たちのボスであるものの、明確な形の「魔王」ではありません。

「勇者と魔王」の物語を作り上げた「ドラクエⅢ」。その他の要素も含めて、その後30年以上にわたり日本のファンタジーシーンを牽引した名作中の名作です!
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明確に「魔王」が敵となるのは、「ドラゴンクエストⅢ」からです。「ドラクエⅢ」は最初から魔王であるバラモスを倒す話、と位置づけられていました。「ドラクエⅢ」はさらに大魔王であるゾーマも登場していることから、「勇者と魔王」という型は「ドラクエⅢ」で誕生した、という見方ができます。

「ドラクエ」シリーズの中でもⅢは特に特筆するべきタイトルです。累計売上本数が当時としては規格外の380万本を売り上げ社会現象にまでなったこともさることながら、「職業」の概念(これも異世界ものでは今や基本ですね)が出てきたり、魔法の体系が完成したりと、シリーズ自体のその後を決める設定が多数出てきます。

先ほど「ドラクエシリーズは日本のファンタジーシーンの土台となった」と書きましたが、より正確に言えば「ドラクエⅢが日本のファンタジーシーンの土台となった」と言えるでしょう。

「ダイの大冒険」は、「ドラクエⅢ」によって「ドラクエ」シリーズの人気が確固たるものになり、その続編である「ドラクエⅣ」の発売(1990年2月)に期待が集まる中で連載が開始しました。なので、基本的にⅠ、Ⅱ、Ⅲの世界観が多用されています。この点はぜひ抑えておきたいところですね。

「勇者」のイメージを具現化、それがダイだ

想像の存在だった「勇者」を具現化した「ダイの大冒険」

さて、その「ドラクエ」シリーズですが、ⅠからⅪまでのシリーズ中、一貫して共通しているのは「主人公である勇者(かその関係者)は言葉を発しない」というものがあります。勇者はプレイヤー自身であり、プレイヤーはその世界の主人公となりきっていく……というスタイルが取られているのです。

これは同じく超メジャーゲームタイトルである「ファイナルファンタジー」シリーズと比べると違いが明確になります。「FF」シリーズは主人公が喋ります。プレイヤーは映画見るようにゲームを楽しむ点が、「ドラクエ」シリーズと大きく異なる点です。

こうした特徴は「1人称型RPG」とか「3人称型RPG」とか呼ばれて、1990年代に両タイトルが競うように新作を出していた頃は、どちらが優れた世界設定か、という議論も大いにされていました。

どちらが優れているかはここでは述べませんが(というより両方いいところがあるので比較できない)、とにかく「ドラクエ」シリーズの主人公である勇者は、基本的にプレイヤーの想像の中にいました。

みんなの頭の中にある「ドラクエ」シリーズの勇者はどんな人物なのだろうか?当時のタイアップ作品はそれをまず描くことから始まっていますが、それらタイアップ作品の中でも特に「ダイの大冒険」がヒットした大きな要因は、この勇者像がファンの持つイメージとぴったり一致したからではないかと推測します。

悩み、苦しみ、笑って、そして勝つ!これこそが「勇者」だ

「ダイの大冒険」では、勇者は「勇気を持って仲間や人々を導くもの」と位置づけています。

こう書くとかなり簡潔で分かりやすいですが、しかし、この結論に至るまでにダイは非常に迷い、悩み、過酷な目に遭うことになります。人々が持つ勇者(つまり自分)への期待に恐れて逃げ出すシーンもありました。ですが、最終的にダイは仲間の期待に応えるために努力を重ね、その勇気をもって世界を平和へと導きます。

それまでは想像の中にしかいなかった勇者。ダイは、多くの人の想像の中にあった勇者像とぴったり一致したのです。
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一人の人間として、悩み、苦しむダイ。仲間たちに囲まれ、少年らしいユーモラスな姿を見せるダイ。そして勇気を持って、その困難を打ち破っていくダイ。それら全ての姿はまさに、「ドラクエ」シリーズのプレイヤーが、主人公である勇者に求めていたものであり、イメージするしかなかった勇者像を具現化したものであったと言えましょう。

「ダイの大冒険」が連載されていた「週刊少年ジャンプ」は、「友情・努力・勝利」というキーワードを原則として作品作りをしていました。ダイはさらにそこへ「勇気」というキーワードを追加した結果、「俺たちが考えていた勇者はまさにこれだ!」というインパクトを与え、結果として人気作品になっていったと考えられます。

「ドラクエ」を楽しむと、「ダイの大冒険」はもっと楽しめる!

「ダイの大冒険」はそのストーリー単独でももちろん楽しむことができます。
ですが、「ドラクエ」シリーズをプレイし、「勇者ってどんな人物なんだろう?」と思いを馳せた後に見ると、さらに奥深さを堪能することができます。

「ドラクエ」シリーズは、現在ですとスマホでも比較的低額でプレイできます。ⅠやⅡですとプレイ時間もそこまで長くないですし、ネットには攻略情報がたくさんあります。「ダイの大冒険」をきっかけに、ぜひゲームもプレイして欲しいなと私は思っています!当時遊んだベテランファンも、当時はまだ生まれてもなかったという若手ファンも、きっと様々な発見があると思いますし、アニメの「ダイの大冒険」をさらに楽しむこともできますよ!

次回はもう少し踏み込んで、初代の「ダイの大冒険」のアニメから新作がどんな作品になるか、初代でいろいろあった部分がどうなるのか、考えてみたいと思います。