今回も時間の関係で2話イッキに行きたいと思います……が、第7話も第8話も非常に印象的かつ物語のターニングポイントとなるシーンが多かったため、記事も長くなってしまいました。お付き合いいただければ幸いです。
※アイキャッチ画像ならびに本文中の画像は、©冬目景/集英社・イエスタデイをうたって製作委員会様公式HPより引用しています。
榀子、大胆発言!いよいよ陸生に春がやってくるのか?
第7話、第8話のストーリーまとめ!
受験まであと1年、浪はどこか現状に満足感を感じつつも、それでいいのかとモヤモヤとしていました。そこから踏み出したかったのか?榀子をデートに誘いますが相手にされず、怒る浪。
彼の悩みをうまく受け止められなかった……そのことで落ち込んだ榀子は陸生を頼ります。そんな榀子に、陸生は悩ませておけとアドバイスします。そのアドバイスがちょうどよかったのか、榀子は小さな笑顔を見せました。
そして榀子は浪に「ちゃんと見ているから」と伝えます。ただ、浪の友達たちは概ね「それってごまかされたんじゃ?」と言います。そうですよねー……。
一方の陸生。友人の福田と家で飲んでいる際、榀子の話題になります。膠着状態だと言う陸生に対し、待ってたら進展しないぞと言う福田。さらに彼は、陸生が榀子に遠慮がちなのは仕事に自信を持っていないからだと指摘します。陸生も薄々思っていただけに、グサッときました。
その福田、結婚式のカメラマンを陸生に頼みに来ていたのです。そのためにはいいカメラを借りないと……と先輩に相談すると、次第に写真との向き合い方みたいな話になっていきます。覚悟して写真に取り組むタイミングを決めるのは自分次第、と言われ、自身のこれからについてまた考えてしまいました。
その結婚式がやってきます。陸生はうまくカメラマンを務めたようです。結婚式の帰り、榀子と福田の結婚の話になる2人。陸生はなにかを伝えたそうでしたが、言いとどまって別れます。
榀子はその足で、浪の家に引き出物の皿を渡しに行きました。そこでちょっと久しぶりに浪と向き合うと、彼はずいぶんと背が伸びていました。そしてそれ以上に榀子の目を引いたのが浪の腕。彼の腕は兄の湧の腕にそっくりになっていました。それを感じた榀子は思わず涙し、浪の家を辞去します。
しかし浪は榀子を追いかけ、後ろから抱きしめました。榀子が兄を好きなのは分かっている。でもそれを受け止めていきたい、榀子のために大人になって湧の代わりになりたいとアプローチ。ですが、榀子はそっとその腕をほどきます。
激しく動揺した榀子は、陸生を頼りました。ファミレスで話をしながら、浪の気持ちに動揺したのは陸生のことを意識しているからだと思う榀子。陸生も含め、自分に好意を向けてくれる男性たちの気持ちをちゃんと考えてなかったと陸生に伝えると、陸生はそれでもいい、待つと言ったのだから、と答えます。それを聞いて意を決した榀子は、自分の家の前で陸生に「うちに来る?」と言いました。
ここで第7話が終わります。
ここからが第8話。
結論から言えば、陸生は榀子の家に上がりませんでした。ドアの前で決意が揺らいだのか、榀子は「やっぱり、ごめん」とつぶやきます。陸生はちょっとホッとしたかのように、榀子に別れを告げ帰りました。
しかし……これを相談された福田&杜田先生は「ありえない」と呆れ返ります。杜田は榀子に、相談事をしている時点で相手を信頼しているだし、好きでもない相手を家には誘わないと言いました。福田は陸生に、心の隙間を埋めてあげられないからモテないんだと言いました。榀子も陸生もそれには言い返せません。
このモヤモヤは、榀子に対する遠慮……そしてそれは仕事に対する自信のなさから来ているのでは、と改めて思う陸生。そんな折、陸生はバイト先の写真スタジオで正社員になる話をもらいます。彼はここで、カメラマンとしてやっていくことを決意するのでした。
ですが、こうなると気になるのが晴。あのコンビニに行くものの、陸生の姿を見ることができません。もっとも晴は、決めるまでは長いけど、決めたら人の意見など聞かず突き進む姿が陸生らしいと思い小さく笑顔。そしてたまたま居合わせその話を聞いた榀子は、結婚式の日になにか言いたそうだった陸生は、このことを伝えたかったのでは……と思います。
このまま会わなくなるのは嫌だ、と思った榀子は陸生の家に行きます。仕事が遅くまでかかった陸生は、そんな遅い時間に榀子がいたことに驚きました。陸生は彼女を家に送りますが、今度はなにもなし。ため息をつきますが、スタジオに就職したことは伝えられました!
ただ、そんな彼の前に晴が現れます。晴は報告なしにコンビニをやめたことをちょっと怒ってました。ですが、忙しくなるからもう会いに来なくていい、と陸生が言うと、自分のことを避けていると勘づき始めます。重たい女になるのは嫌……晴は走って陸生の元を離れました。
一方、榀子はなにかに区切りをつけるべく、浪の家に。そして彼が帰ってきて……。
ここで第8話が終わりました。
遅いながらも、「らしく」歩く陸生と榀子
第7話、第8話の名ゼリフ・迷ゼリフ!
焦燥感の方が生きてる感じがするんだよ(浪)
受験まであと1年。学校、予備校生活にも慣れ、それなりに充実しているはずの浪から出てきたのがこのセリフです。
第7話だけでなく、浪はストーリー全体で焦っている雰囲気を隠しません。榀子との関係に焦り、自分自身に焦り……逆に焦っていない時間はなにか物足りなさを感じます。ちょっと破滅型の性格な印象ですね。芸術家肌だからでしょうか?
第7話の中で、彼はこのセリフのままに行動します。学校で榀子をデートに誘い、さらに涙を見せた榀子を後ろから抱きしめるという大胆行動まで!結果として榀子はこれによって激しく動揺し、陸生を家に誘おうとまでするのですから、物語を大きく動かしたシーンになったと言っていいでしょう。
いい加減人生が聞いてくるわけよ。お前、なにになりたいのってさ(陸生)
俺、単純にカメラいじるの好きなんだなぁって(陸生)
晴との食事の最中、陸生がつぶやいたのが最初のセリフ。
後者は、正社員となった後に榀子に言ったセリフです。
第7話から第8話にかけて、陸生に大きな変化が生まれました。2年近いフリーター生活を脱し、とうとう就職したのです。きっかけは、福田から結婚式のカメラマンを依頼されたこと。そこでいいカメラを借りようとしたところ、先輩に決断をするのはいつにするつもりだと聞かれてしまいます。さらに福田からは、榀子に遠慮しているのは仕事に自信がない(というより定職がない)からだとも。
こうしたことからいよいよ写真と向き合わないと、人生と向き合わないとと思い始めた陸生の元に訪れたのが、正社員としての誘いでした。先輩たちにも恵まれ、仕事に取り組むうちに写真に対する意欲がどんどん湧いてきた陸生。カメラが好きなんだと、自分の思いをしっかり口にできるようになりました。
これで榀子への気持ちも自信を持てるようになった。しかしそうなると、晴はどうなる……?陸生の成長は、ストーリーの大きな転換点になることは間違いなさそうです。

©冬目景/集英社・イエスタデイをうたって製作委員会
写真が上手くなりたければ高いカメラとレンズを買え、と私が好きな写真家Youtuberの方は発言していました。そうすることで言い訳できない環境に自分を追い込み、頑張らざるを得ないようになると。陸生の先輩もそれに違いことを言っているところを見ると、写真の世界ではこうした考えを持っている人は結構いるのかもしれません。
私も高いカメラ買いたいな……いや写真でやっていこうと思っているわけではないのですが(笑)ただもっと上手くなりたいとはいつも思いますね。カメラってそういう魅力があります。
うちに来る?(榀子)
これは取り上げざるをえないセリフでしょう!第7話終盤、浪に抱きしめられて動揺した榀子が、悩みを聞いてくれた陸生に向かって言ったセリフです。
これがストーリー上大きな意味を持つことはここまでに解説したのでもう詳しくは触れませんが、それにしてもまぁ大胆な発言です。あんな夜中に男性を家に迎え入れる意味は1つですから……もっとも、第8話冒頭で怖気づいてしまうのもまた榀子らしいと言えば榀子らしいですが。
もっともこれを受けた陸生も、結果として踏み出せません。素晴らしくいいパスをもらったにも関わらずゴール前でもたついてるようなものです。なにしてんだよ!と福田ならずとも思ってしまいますが……。
いや、陸生が気持ちの弱った女子の心につけ込んじゃうような器用な男ならこんなに人生迷ってないでしょうし、視聴者としても応援できません(笑)肝心なところで日和ってしまうのもまた陸生らしいかな、と思えばさらに感情移入できますね。
彼を試してるの?(杜田)
榀子の恋バナを聞いた杜田先生、榀子にこのセリフを言ってツッコみました。
見方によっては、榀子は陸生を振ったくせに相談したりテレビの配線を手伝わせたりと、振った男を割と都合よく使っているという解釈も成り立ちます。もちろん榀子にそうした悪意はないのですが……
そうした榀子の態度をどう捉えるかはかなり視聴者によるところがあるなと思いますし、それはそのまま本作の評価へ繋がっていくような気がします。
もっとも杜田は、榀子が男を弄んで喜ぶ人物でないとも知っています。引っ込み思案な榀子に対し、最後は必ず背中を押すような発言をしていますしね。いやまぁ、単に楽しんでいるだけ感もありますが(笑)
第7話、第8話は榀子にとっても陸生とのイベントが連発し、いよいよ自身の気持ちへ踏ん切りをつけようという雰囲気が強く漂いはじめました。陸生同様にここまでいろいろと迷ってきた榀子。これまた、ストーリーが大きな転換点を迎えている証左と言えましょう。
なんか私のこと避けてない?(晴)
コンビニを辞めたことを言ってくれなかった陸生。晴はこのセリフをつぶやきます。当初は「そんなことねーって」みたいな返答を期待していたのでしょうか。でも結果として陸生はマジムード全開になっていきます。
最初は冗談めかしていた晴ですが、徐々に彼が本当にそう思っているようだと気づいたのか、もう仕事先には行かないと言いました。もしかしたら、晴にとってこのセリフは致命的な一言だったのかもしれません。これまた、ストーリーを大きく動かすシーンだったと言えます。
第7話からはEDが変わりました。自転車に乗った晴が街を走り弾を撃って敵を倒すレトロなシューティングゲームのようなムービーですが、最後に陸生と榀子を見つけ、ゲームオーバーとなってしまいます。まるでストーリー全体の結末を表すようなこのED……見ていて切なくなります。
動き出した20代組、追い詰められる10代組
勢いよく好きな人に迫ってきた10代の2人だけど……
2話にまとめしてまうのがもったいないほどに内容の濃い第7話と第8話でした!いやいや、第7話から第8話への引きは息を呑むものがありました。「陸生、行くのか?!行くのか?!!!」と思ってからの肩透かし(笑)まぁ、本当に2人らしいといいますか……。
ただ2人は確実に前に進んでいます。陸生は正社員になり、榀子へアプローチするための障害となっていた遠慮を取り払いました。一方榀子は、陸生のことを許容している自分の気持ちにいよいよもって気づき始めています。これは恋愛レース的にはほぼ決着が着いたも同然、か?
しかしこうなると気になるのは10代組……晴と浪です。晴は明らかに陸生が変化していることを感じ、その結果もうこれまで通りの関係ではいられないと気づきます。また浪は、榀子に猛烈アプローチをかけているにも関わらず男性として見てもらえず、第8話ラストは最後通牒を受けかねない展開です。
第2話の感想記事で、私は「真っ直ぐな10代2人、前に進めない20代2人」と書きました。過去の経緯から前に踏み出せない陸生と榀子。しかし2人は小さいながらもゆっくりと歩み続け、振り返って見ると大きく前に進んでいるように見えます。でもその結果は、10代2人の望むものとは逆の方向になりそうです。
ジワジワと距離が離れる晴。終盤にワンチャンはあるのか?
特に晴は、ここまで何度も何度もいい表情を陸生に向けてきました。その姿を視聴者として見るにつけ、彼女の気持ちがすごく伝わってきたわけですが、この第7話、第8話で陸生からの距離がジワジワと離れてしまっています。
陸生と榀子の視点ではいろいろなことが起きていますが、晴はそれを知らない。知らずして、陸生の姿を遠くから眺め笑顔を浮かべている……。

©冬目景/集英社・イエスタデイをうたって製作委員会
ゆっくりと、しかし確実に展開していく本作。その結果、晴がゆっくりと、しかし確実に辛い状態になっていることを感じます。こんなに真綿で首を絞めるように失恋していく作品、なかなか見ないですね。そうした時間軸がとても印象的です。
かなり陸生と榀子の距離が近づいてきた第8話。晴も薄々気づいています。このままゆっくりと、晴は失恋していくのか?しかしまだ第8話、ワンチャンが起きる時間はあります。これはいよいよ目が離せなくなってきました。
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