やっと他のチームの人間と出会えた!
が、出てきたのはワイルドすぎな不穏当な2人……
ナツたち、果たして大丈夫なのか?
※アイキャッチ画像ならびに本文中の画像は、©2019 田村由美・小学館/7SEEDS Project様公式HPより引用しています。
絶望が支配する村
暴力で統制される秋チーム。しかしメンバーたちは……
ワイルドすぎな2人、稲架秋ヲと猪垣蘭はナツたちを自分たちの村に案内します。そこは外壁があり、木の家があり、この世界で初めて見る文明的なものでした。
秋ヲと蘭は、ナツたちが何をしにここに来たのか、自分たちの作物などを盗むのではないかと疑っています。
さらに衝撃的な情報が。彼らはもう3年ぐらい前からこの世界にいると言います。ナツたちは1か月ほど前。チームによってタイムラグがあることが明らかになりました。
夜になると、「反省会」が始まりました。そこではその日の作業内容を報告し、目標が未達の場合は容赦なく暴力的な罰が与えられるというショッキングなものでした。
体を張って暴力を止めようとする嵐ですが、蘭は聞く耳を持ちません。ガイド役の十六夜良夜は無気力なまま見ているだけ。
しかも嵐が「平等な立場でここに来たんだろう!」と他のメンバーに訴えますが、彼らは秋ヲと蘭の暴力的な支配を受け入れていました。秋ヲは人間は平等ではないといい、メンバーもそれを肯定しています。生きる力がある秋ヲと蘭に従っているから生きていられる、とまで言うのです。
良夜、絶望のあまりとんでもないことを……!
そんな最中、蟬丸がやらかした!穀物を盗み出そうとして捕まってしまいます。疑われている状況で盗みを働く。こいつはアホか……3人は縄で拘束され、柱にくくりつけられてしまいます。
彼らの前で英語で打ち合わせをする秋ヲと蘭。力だけでなく頭脳も明晰のようです。そんな彼らはナツたちに何か得意分野はあるのかと聞きます。ない、と答えたナツに、夏Bチームは落ちこぼれの集まりと聞いていたが、と笑う秋ヲ。さらに「うちのチームはセックス禁止」「滅びろ日本」と大声で笑いながら去っていきます。
深夜までもがいて縄を解こうとする3人。そこに良夜が現れ、助けてくれます。
感謝するナツ。彼はさらに水もくれました。
しかしここで蟬丸の人を疑うスキルが発動!水を地面にぶちまけたら、それを飲んだトカゲがすぐに死んだ……なんと毒が入っていたのです。ガイド役に渡されていたという、いざというとき苦しまずに死むための青酸化合物。良夜はそれを、3人に与えただけでなく、村の貯水槽に入れて村を全滅させようとしていました。良夜はこの世界に絶望し、自分もろとも秋チーム全員で死のうとしていたのです。
これには蟬丸激怒!いや、それ以上に怒ったのが嵐でした。良夜をぶん殴り、言い放ちます。「俺はまだ諦めていない!俺を殺すな、バカヤロー!」と。凄まじい迫力にナツは思わず涙しました。良夜の言うことも、嵐の言うこともどちらも分かるから、かもしれません。
希望を捨てず、東に向かう3人。そんな彼らを裏で見ていた秋ヲと蘭。「見てくればいい、絶望ってやつを」「それでもまだ笑えるなら、笑ってみせてよ」と虚ろな表情でつぶやくのでした。
希望への序章になって欲しい……ハルの音楽
東側の陸地へ!絶望を乗り越えようとするナツたち。
彼らの言葉通り、東側には断崖絶壁が。これではボートを下ろすことすらできない。しかしそこにあの良夜が現れ、ボートを下ろす手助けをすると申し出ます。
彼は言います。東を見てきて、なにかいいことがあったら秋チームのメンバーに教えて欲しい、と。
彼のことが信用できない3人。当たり前です。前日殺そうとしたのですから。
しかし良夜は、嵐の要求通りメガネを取って再び語りました。人を救いたいと思っていた良夜。覚悟してここに来たはずなのに、その覚悟が足りなかったと後悔します。
でも嵐は「やり直すことはできます、生きていれば」と語りかけ、彼の力を借りて東の海に漕ぎ出していくのでした。
どれぐらい時間が経ったのか。彼らは東側の陸地に到着します。歩き続ける3人。
ふと、蟬丸の故郷である浜松を過ぎているのでは?と気づきます。「これでウナギは本当に絶滅」と当地ならではのジョークと皮肉をつぶやく蟬丸。1億円で彼を政府に売った母はそれを何に使ったのか……複雑な思いが去就しつつも、蟬丸は「けじめ」として母の墓を岬に建てるのでした。
そして彼らは、荻野富士に到着します。そこにはまだ誰もいない様子……?
あれ、春チームは?
ハルにとって音楽とは……
春チームは、関東探索に時間をかけていました。
東京エリアをボートで探索している花とハル。町並みは水の下、高層ビル群は木に覆われて……コールドスリープから相当な時間が経っていると想像できるシーンです。
逃げる時間ぐらいはあったよね……とつぶやく花。しかしハルはクールに「俺に気休めを言ってほしいの?」と聞き返すだけ。
あんたにも心配な人はいるでしょう、と怒る花ですが、そんな人はいないとハルは言います。音楽一家に生まれたハル。子供の頃から音楽ばかりやらされ、苦痛と恐怖しかなかったと言う彼にとって、ピアノを弾かずに済むこの世界はせいせいするぐらいだと。
とあるホテルの結婚式場のチャペルらしき場所にたどり着く2人。
夜、焚き火を前に花が口を開きます。スポーツのトップ選手たちは緊迫した中でのプレーに充実感を感じているはず、そういう経験をハルはしたんじゃないかと。彼女は見抜いていました。ハルがもうピアノを引く気がないと口では言うのに、手袋をして指を守っていることを。
そこでは何も語らなかったハル。
しかし夜、起き出したハルは、パイプオルガンを弾き始めます。ペール・ギュントの「朝」。音は出ないオルガンでしたが、そこにBGMとエンディングテロップが重なり、朝日が差し込む。
充実感を感じた表情を見せるハル。そんなハルに、花は笑顔で伝えます。「あんたが生き残っていれば、音楽は滅びない」と。
とても印象的な第4話の終幕となりました。
なお彼らは富士山を目指す模様。第3話では荻野富士が、と言っていたのですが……関東平野が完全に水に浸かったのを見ての方向転換でしょうか?
絶望と希望、両方が描かれた
力が支配する秋チーム。混乱の末の支配体制
極限の状況で人は何を思うのか?そしてどう行動するのか?
それが極端に現れた第4話でした。
秋のチームは完全に、稲架秋ヲと猪垣蘭という、力に優れたメンバーによる暴力が支配する集団になっていました。これは一番原始的な組織の形成方法といえます。
社会科の授業だったかな?で教師から聞いたことがあります。力の順番は、権威、権力、金、暴力だと。逆に言えば我々のいる文明社会は、権威や権力、金というシステムを作ることで、暴力だけが支配する世界から脱しているとも理解できるかもしれません。
しかしナツたちがいる世界は、そうしたシステムが全て破壊されています。となると、残るのは暴力。力で圧倒した者が偉く、そうでないものはその者に従う。ある意味かなり分かりやすい統制方法です。
そして秋のメンバーは、それを是としています。こんなやり方はおかしい、と口にした嵐に余計なことは言うな、と反論しています。
また、メンバーの1人、刈田葉月はオリンピックレベルの柔道家……つまり単なる力だけなら秋ヲや蘭以上のものを持っているはず。しかし彼もまた、2人の暴力的支配に従っている。

©2019 田村由美・小学館/7SEEDS Project
これはなぜなのか?
ここからは予想も多分に含むため、原作を読めば明らかなのかもですが……大きな要因は、ガイド役の十六夜良夜がリーダーシップを発揮していないことでしょう。夏Bチームとはここが大きく違うところ。
夏Bチームは、牡丹がしっかりとリーダーシップを発揮しています。これは性格もありますし、ガイド役に持たされた情報という武器もある。そうした様子を見たナツや嵐ら他のメンバーは安心を得た上で牡丹に権威を認め、リーダーとして行動することを許しています。だから一方的に暴力が支配するような状況になっていない。これはおそらく、7SEEDSプロジェクトの計画者が理想としたチーム作りだと思われます。
しかし秋チームはそうならなかった。良夜が真っ先に絶望し、リーダーシップを発揮しなかった。
リーダーがリーダーらしく振る舞わないと、メンバーは何をもってまとまればよいか、どうすれば生き延びられるのかという不安が発生します。
この不安を収めるために台頭してきたのが秋ヲと蘭なのでしょう。誰かが役割を果たさない場合、チームは自然と別の人が役割を果たすようになるのは現実の組織でも見られる現象です。
とはいえ、彼らがリーダーシップを取る際に利用した手段が暴力なのはなぜなのか?ここは考えると深いです。彼らはコールドスリープ前も頭脳を用いて活躍していました。暴力以外でリーダーシップを取ることもできたかもしれませんが……
秋チームは、今の形にまとまるまでの3年間に、相当な紆余曲折があったのではないかと予想します。その中で、全員が秋ヲと蘭が暴力を振るって統制することがベストだと学習していったのかもしれません。
そうだとしたら、人間というのは結局、原始人のときから基本的な構造は変わらないのか……と思わずにいられません。
絶望が支配する秋チーム
とはいえ、秋ヲと蘭を始めとする秋チームの根っこにあるのは絶望でした。関西より東は断崖絶壁、海で阻まれていて先が見えない。見たこともないお偉方の計画した7SEEDSプロジェクトなんてものに強制的に参加させられ、何もない世界で頼れる人もおらず、苦しい思いをさせられている。
そうした恨み、絶望、もろもろが「セックス禁止」、すなわち子孫を残すことを拒否することへと繋がっているのかもしれません。
しかしナツたちが脱走した際、彼らは絶望を見てこい、という一方、夢を見られるものなら見てみろ、と諦めつつもどこか彼らに期待するような雰囲気も。
2人もどこかで、もう一度希望を持ってみたいと思っているけど、現実に立ち向かえずにいるのでしょう。彼らの持つ絶望の深さを感じるエピソードでした。
芸術は希望となるか?次のステージで必要なもの
一方、この状況に複雑な想いを抱いているのが、春チームのハルです。彼は音楽一家に生まれ、物心ついたときからピアノをしていました。そんな彼にとってピアノは、音楽は苦行でしかないとのこと。
そう言えば第2話でも、最後のコンクールが、と言っていました。この最後というのは、もしかしたら彼が設定した目標ではなく、家族から一方的に通告されたものなのかもしれません。
そ彼にとって、この世界は音楽が存在しない世界。正確には音楽によって評価されることがない世界です。これは彼にとっては求めていたはずの世界だったのかもしれません。
しかし彼はこの世界でも活き活きしているようには見えません。音楽で評価されることがない世界に来たはずなのに……その理由は、花が指摘したように「心の中では音楽が好きだった」ということなのでしょう。
ハルは音楽の技術という評価のみが支配する世界でずっと暮らていました。そんな世界から逃げ出したいと思っていたのに、いざ音楽がない世界に来ると落ち着かない……ハルにとって音楽は、否定しても彼自身に深く染み込んでいるのでしょう。
そんなハルを、花は励まします。あなたがいれば音楽は滅びないと。
そう、ハルはこの世界で、おそらく唯一音楽の技能を持った人間なのです。
もし7SEEDSプロジェクトのメンバーが世界を再構築することに成功したとしたら、次に文化・娯楽が求められることになります。
それは生きるか、死ぬかという現状からはかなり長い時間がかかるでしょう。その段階でハルはたいして役に立ちません。しかし世界が次のステージに進んだとしたら、ハルはきっと必要な人間として認められることになるでしょう。
夏Bチームにも、守宮ちまきという芸術家の卵がいます。芸術はサバイバルには必要ない。しかし分かっている時点で2人も、芸術家がメンバーに入っています。
人類という種を保存することが第1優先。しかしその次のステージに進めたことを考え、芸術という文化も保存しようとした。7SEEDSプロジェクト、そこまで考えていたとしたら非常に深いものがありますね。
秋チームのメンバーが感じている絶望。そこから一歩踏み込んだ先にあるはずのハルたちの持つ芸術の持つ力。Aパートの問いかけに、Bパートが答えるようなベリーグッドな構成でした!
早くハルやちまきらが活躍できる世界になりますように……そんなことを祈ってしまいます。
せっかくなので、EDのBGMになったエドヴァルド・グリーグ作、戯曲「ペール・ギュント」から「朝の気分」の動画を。作中では「朝」と略されていましたが、いくつか呼び方があるようです。とても美しい曲ですね。














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