「ゾンビランドサガ リベンジ」 8話 感想 ~ リアル歴史と密接リンク?明治に生きるゆうぎり、佐賀を取り戻す青年と出会う

©ゾンビランドサガ リベンジ製作委員会

いよいよメンバー以外にソンビであることがバレてしまった前回。芸能記者、大古場の追求も進んでいます。そんなヤバげなムードが漂う中、第8話は一気に時代をさかのぼって明治?!第1期にはなかったゆうぎり回、スタートです!

なお今回より、見出しの付け方を一部変更しておりますのでご承知おきください。

※アイキャッチ画像ならびに本文中の画像は、©ゾンビランドサガ リベンジ製作委員会様公式HPより引用しています。

第8話 ストーリーまとめ!

1人寂しく佐賀で暮らすゆうぎり、喜一と出会う

時代は明治15年。伝説の花魁、ゆうぎりは政府高官に身請けされ、佐賀へ赴きます。しかしその高官は身請け後間もなく亡くなり、彼女は知人もいない佐賀で1人暮らすこととなってしまいました。

そんな彼女はある日、百崎喜一という青年と出会います。この頃、佐賀は「佐賀の乱」の影響で他県に併合されてその名を失っていました。喜一はその乱の戦災孤児であり、拾ってくれた祖父の望みを叶えるため佐賀の名を取り戻す活動していましたが、誰からも相手にされないという日々を送っています。

佐賀で1人暮らすゆうぎりは、喜一と出会います。
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喜一は絶世の美女であるゆうぎりに惚れ込みます。一方のゆうぎりも、1人になってからは他者とほとんど交友がなかったため、喜一との出会いを好ましく思っている様子。

いい感じの2人を見て、喜一の友人である伊東正次郎は「世帯を持て」とけしかけました。ですがその正次郎は、喜一のただの友人ではなく何かの監視をしている模様……?

第8話はここで終わります。

第8話 名ゼリフ・迷ゼリフ!

佐賀の名を取り戻したとしてだ、その先に何がある?(正次郎)

第8話の舞台は今から約140年前、1882年の現在の佐賀市付近の模様です。今回の主人公、喜一は佐賀という名前を取り戻すべく活動をしています(佐賀の歴史については、考察パートで詳しく触れます)。彼の友人正次郎は、勢いだけで空回りする喜一をよくフォローしているようです。

正次郎は2年ほど前から喜一と知り合いとのことですが、明らかに怪しい動きをしています。第7話ラストで物乞いに扮したスパイ?らしき人物に喜一の運動が拡大している旨を報告する文書を送っており、喜一の活動を警戒している様子。そもそも彼は佐賀弁を使っていないため、佐賀の者ではなさそう。

単なる友人でも、単なる監視対象でもない2人の関係は?
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一方で、喜一に対しては活動を諦めるよう促しています。このセリフもそうですし、活動はやめてゆうぎりと世帯を持てと言ったり。そして彼自身、明治新政府を批判するようなことも口にしています。正次郎が喜一に向ける眼差しは決して冷たいわけではないのもまた、複雑そうなところです。

正次郎の正体とその狙いは次回を待ちたいと思います。ただ、歴史上佐賀はその後復活しますが、パッとせず100年以上経過してしまった……という状況なのもまた事実。このセリフは見方を変えると、本作お得意の「自虐ネタ」なのかもしれません。

俺に昔の力があれば、死人を蘇らせるぐらい朝飯前だなんて言い始めたり(喜一)

ひょんなことから出会った喜一とゆうぎり。ゆうぎりの美しさに発熱した喜一の元に、ゆうぎりは漢方薬を届けます。その際に出てきた喜一の祖父(育て親)が言っていたという言葉が、このセリフです。

これは重大な一言です。この時代から約140年後、佐賀では蘇った死人がアイドル活動をしていますが、そもそもフランシュシュの面々がどうやって蘇ったのかは、ここまで語られていませんでした。喜一の祖父は彼女たちを蘇らせた技術を持っているのでは?と思わせる見逃せないセリフです。

容姿といい声といい、フラグそのもの感がすごい……
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また、ゆうぎりはそうした人物と接点があったということも注目しておきたいところ。フランシュシュの面々が蘇った手法や理由を、もしかしたらゆうぎりは知っているかも?これはちょっと深読みかもしれませんが、もともと第1期ではゆうぎりの過去については触れられてきませんでした。作品の根幹をなす設定と深いつながりを持っているとしたら、ここまで引っ張ってからの満を持しての登場!とも考えられます。

祖父の徐福の声優は大塚芳忠さん。一方、第2期第1話で幸太郎とゾンビ計画を話していたマスターも大塚さんでした。これは完全にフラグでしょう。また、犬のロメロも140年後と変わらぬ姿で登場しており、人間は無理でも犬ならばすでに蘇らせることができているのかもしれません。

この辺の設定は、今後要注目です!

俺は、新しい佐賀ば作りたか!(喜一)

喜一は佐賀を取り戻すための活動をしています。ですが喜一の頭の中には、単に佐賀の名前を蘇らせるだけにとどまらず、男女や身分を問わずに自分らしく生きられる世界を作りたいという、とてつもないスケールの夢が詰まっていたのでした。

彼の思想は、自由民権運動の影響を受けているかと思われます。第8話の時間軸である明治15年には、自由民権運動の中心的人物である板垣退助が襲撃され、かの有名な「板垣死すとも自由は死せず」という言葉を発しています。

この時期、自由民権運動の思想自体はすでに全国に広がっていたようなので、喜一がその影響を受けていたとしても不思議ではありません。また、自由民権運動は明治新政府が警戒していたので、正次郎はその広まりを監視していたと考えることもできます。

佐賀の名前を取り戻し、その地に新しい世界を作り出す――大きな夢を一挙に叶えてやろうという野望を抱えていた喜一。ゆうぎりが好ましく思っても不思議ではない、ビッグで純粋な青年であることがよく分かる一言でした。

第8話考察 佐賀の歴史を見てみよう

明治新政府と密接に絡んでいた佐賀だったが……

第8話の舞台は、なんと明治!
明治初期と佐賀は非常に密接な関係があり、本作のストーリーにも大きな影響を与えています。その歴史について、ここで振り返ってみましょう。

  • 1869年 明治新政府樹立

明治維新の結果徳川幕府が倒れ、それに代わって明治新政府が成立します。肥前藩=佐賀はこの明治新政府に多くの人材を供給します。今なお「佐賀の七賢人」と呼ばれる、江藤新平、副島種臣、大隈重信が特に有名です。

  • 1873年 明治6年政変・江藤新平ら下野

朝鮮へ出兵するか、否かを巡る征韓論から、明治6年政変が発生。征韓論を唱えた西郷隆盛を支持していた江藤新平や副島種臣ら佐賀出身の大物が、明治政府を去ります。

  • 1874年 佐賀の乱勃発

江藤新平を中心とした士族らが佐賀で武装蜂起。明治新政府と戦う内戦、佐賀の乱が勃発します。この佐賀の乱は発生から1ヶ月程度で鎮圧されていますが、不平不満をためた士族が暴発した嚆矢であり、のちの西南戦争へとつながっていきます。作中登場する喜一は、父親をこの乱で亡くしたと語っています。

一方、江藤新平と共に政府を去った板垣退助は自由民権運動を開始。この思想が喜一に影響を与えているのでは?という点はセリフ解説パートで見た通りです。

  • 1876年 佐賀県消滅

作中でも説明されますが、佐賀県は長崎県に併合される形で消滅します。これは上記で見た、佐賀の乱に対する罰だと言われています。

  • 1881年 明治14年政変・大隈重信が下野

北海道で官有物払下げ事件が発生し、これがきっかけで佐賀出身の政府高官・大隈重信が明治新政府から追放されます。これが明治14年政変です。

そもそもこれ以前に、大隈は新憲法(明治憲法)を巡り長州出身の伊藤博文や井上馨と対立していました。払い下げ事件は伊藤らが大隈を排除する格好の出来事になってしまいました。

政変が起き、大隈が辞職したのは明治14年の10月。一方、作中でゆうぎりが政府高官に身請けされたのはこの年の秋と表示されています。そしてゆうぎりはその政府高官と共に佐賀で暮らすことになりますが、もしかしたらこの政府高官は大隈の関係者で、明治14年政変のあおりを受けて新政府から追放されて佐賀に戻ったのではないか?と推察できます。そう考えると、かなりリアリティのある設定と言えますね!

佐賀の歴史に、ゆうぎりが影響してくる?

以上、まとめますと「佐賀は明治維新直後は実力者を新政府に送り込んでいたのに、政変や内戦で影響力を失った上に、県までなくなってしまった」と言えます。現在の存在感同様、歴史もちょっとビミョーな佐賀。佐賀の中の人的には、「あのとき上手くやっていれば今ごろ……」という思いがあったりするのでしょうか?

歴史を見ると、ゆうぎりと喜一が出会ってからほどなくして佐賀はその名を取り戻すことになります。ゆうぎりはその歴史的瞬間にどのような影響を与えているのか?第9話を待ちたいと思います!

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