話題の映像研、第2話です。
ツバメは親にアニ研に入るなと言われているので、新しい部活を立ち上げようという話になっていたはずですが、さてどうなるのでしょうか?
※アイキャッチ画像ならびに本文中の画像は、 © 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会様公式HPより引用しています。
映像研、爆誕!環境と熱意、紆余曲折ありつつちょっとずつ前進!
ちょいちょい弱気が出てくるみどり……だがさやかは突き進む
ツバメの親の制限を乗り切るため新しい部活を立ち上げようとしている3人。しかし職員室を前に、みどりは怖気づきます。彼女、肝心なところではなかなか行動に移せないタイプなのは第1話で見たとおり。この性格、今後のストーリーでもちょいちょい出てきて展開に影響を与えそうな予感がします。ただそこは仲間の力がカバー。ツバメは未知に踏み出すこの状況が楽しそう。一方のさやかは「カネか暴力で解決」と物騒なセリフを……(笑)
部活担当?の先生に部活の申請をする3人。アニメ制作の部活はもうあることを前提に、実写長編映画の部活なら許可するという話の流れに。アニメが作りたいのにそれじゃ話が違う、というみどりとツバメですが、さやかは全く動じません。アニメだって映像なのだから、映像部を作ってそこでアニメを作ればいい、と。言葉尻を捉えて自分の都合のよいように解釈していく、さやかのプロデューサー力がさっそく発揮されます。
部活となれば顧問が必要……と思ったら、話を聞いていたのか、どこかで見たことあるキャラのようなひげの先生がカットイン。この藤本先生が顧問を引き受けてくれることになりました。
制度上の形が整い、こうして映像研が爆誕しました!
オンボロ部室で語る夢!
部活ができて顧問もついた……となれば次は部室です。
藤本先生が案内してくれた空いてる部室とは、トタンでできたオンボロな倉庫。お金持ちのツバメはテンション上がりますが、クーラーもなく、壁も天井も穴だらけ。こんなところが部室になるの?と思ったら、2階ではしゃいでいたみどりは、寄りかかった手すりが壊れ、下に落下してしまうことに。しかしみどりは落下しながらも自分が想像した飛行機具の設定を考え続け、さやかはそんな彼女の映像を売って部費を捻出しようとしています。どこまでも自分の個性全開な面々です(笑)
ともかく部活と部室を得た彼女たち。アニメが作れるという高揚感とともに、この日は解散します。

© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会
翌日、部室にはなぜかソファが。ツバメの家の不用品を持ってきてくれたそうですが、その費用300万!みどりはそんなソファに穴を空けてしまいビビりますが、ツバメは「粗大ごみみたいなものだから」と意に介しません。
しかし問題はここから。アニメ制作会議を開催するものの、それぞれのやりたいことがバラバラでまとまりません。
ツバメは自分が得意とするキャラクターが細かく動いて表現していくアニメを作りたい模様。
それに対しみどりは世界観を全面に押し出した作品をと言いますが具体性に欠けます。
さやかはプロデューサー視点から、まずは売れ線の作品にしてはと言いますがクリエイター2人は聞く耳を持たない。
議論がまとまりそうもないとみて、さやかは2人の実力を見るために好きにやらせようと方向展開します。クリエイター2人のフワフワした感じと、さやかのクールで現実的な視線の対比がとても面白い。
宝の山で、みどりの空想がまた爆発!
さてアニメを作るにしても機材がいろいろ必要です。特に机がなくてはアニメもへったくれもありません。
ということで職員室に再度交渉へ。アニメを作ることは伏せて……とみどりに釘を刺すさやかでしたがみどりは即失敗。彼女に交渉は向いてないでしょう……当然アニメを作るなんて話が違うじゃないかと部活担当の先生は言います。しかしここでまたさやかの交渉力が炸裂。映像研は映像全般を作る権利があるはずだ、アニ研は今はアニメを作っていない、権利を阻害するならPTAや教育委員会に問題を持ち込むぞ、と。押し込まれた先生はイエスと言わざるを得ません。
さやかの交渉力によって、アニ研の使っていない機材を貰い受けることに。そこには光が下から出るトレース台付きの机だけでなく、なんとアナログ式撮影器具や風力発電の器具まで!文字通り宝の山です!
机の上には、プロペラの動画コンテがありました。ただこれだとプロペラが回って見えないのでは?とみどりとツバメが悩み、手を加えます。
苦労の甲斐あって角度を変えて動きはよくなった。
しかしあとは風だ。風をどう表現するか?
ここでまた、みどりの世界に突入します。彼女はプロペラを動かすなら風が必要だ、と隣のビルをぶっ壊し、風穴を開けます。そこから水を流し、あたり一面が湖に。風がビュンビュンと吹く湖の上に、みどりの空想した船(ディンギーモス)が飛び出します。湖を疾走するディンギー。途中出てくる動物の説明がいかにもアニメ制作画っぽい。そして彼女たちが行き着いた先には、虹に照らされたプロペラが……
「お前ら!早く帰れって言ったろ!」
先生に怒られて現実に戻る3人娘。またしてもあれこれしているうちに夜になってしまったようです。しかも外は予報通り大嵐。身を寄せながら嵐の中を下校する3人の後ろで、アニ研所有のプロペラは勢いよく回っていました。
ここで第2話が終わります。……が、その直前、例のみどりの落下映像がなんとテレビで放映されることに(笑)お金が入ったのはいいですが、これ、後で怒られるやつじゃ??
さやかの冴える交渉術!アニメ遺構とも言える機材にも注目
交渉術も学習できる作品かも?
第2話は部活立ち上げの話でした。
全体に渡って、ちょいちょいとキャラクター3人の個性がはっきりと見えるシーン満載なのが面白いところ。アバン部分の職員室の前の短いシーンでも、怖気づくみどり、好奇心旺盛なツバメ、カネか暴力で解決と現実路線(?)で問題解決しようとするさやか。何か起きた際の3人の行動のクセがはっきりと見て取れます。
特に第2話ではさやかの交渉術が光りました。
中盤、部活担当の先生と交渉する際に彼女は技術を使っています。一度小さなイエス(映像の部活を作る)を言わせたら、より大きなイエス(アニメを作る権利と機材の要求)を相手に飲ませる、というものです。これはフット・イン・ザ・ドア・テクニックと呼ばれる交渉術で、ビジネスなどで実際に使われる交渉術の基本の一つ。本作、アニメ技法にもかなり凝っていますが、交渉術の勉強にもなるかも?
クリエイターとプロデューサー……水と油だからこそ面白い
またさやかは、作品が売れなければ意味がないというクールな視点を持っています。クリエイターだけだとどうしても自分が作りたいものを、より質が高いものを、という方向になりがち。それで実際にはまとまらない……ということは現実でもよくあること。こうしたクールな視点はとても大切な要素です。
クリエイター2人に振り回されつつ、クリエイター2人を強引にまとめていくさやかの姿は今後も見られそうで楽しみです。
アニメ界の歴史を残そうとする取組(?)に拍手
PC抜きでは成り立たない現代アニメ制作
後半に出てくるアニメの機材は、アニメ遺構とも言える貴重なものでした。
現在のアニメはフルCGで出来ています。フルCGアニメ制作の際は、原画マンと動画マンが絵を描いたら、それをスキャニングしてPCで色付けし、動きをつけていきます。撮影工程もありますが、ここでは背景の演出などが主で、実際にカメラで写す訳ではありません。
近年ですと3Dアニメが増えてきたのは読者の皆様もよくご存知のとおりでして、この場合一度モデルを作ったら後は全てPCの中で動かしていきます。
このように、近年のアニメ制作はPC抜きでは成り立ちません。
アニメ制作史を残そうとするHNKの意欲作、かも?
しかし本作で出てきた機材は、フルCGより前の時代のアニメ制作を物語るものです。セル画にインクで色を付け、それを束ねて上から撮影する。背景をハンドルで動かして動きをつける。ライトを使って光を表現……などなど、およそ25年か30年ぐらい前までの撮影方法がしっかり描かれています。
こうした制作は手間がかかります。ツバメが言うように鉛筆で手が汚れるし、生きた線は慣れないとなかなか描けない。ここでは着色の工程は描かれていませんが、複数の色を操るのはさらに難易度が高い。何しろ手間が膨大にかかる。CGアニメに置き換わっていったのは時代の必然だったことが分かります。しかし、現代の女子高生である彼女たちがアナログアニメ作成をするシーンはかなり貴重だし、だからこそ往時の苦労が説得力を持って表現されていると思います。
フルCGに時代が変わり、さらに3Dが台頭していく現代にあって、敢えてかつての制作方法をアニメとして残していく……そういう視点で見れば本作は、貴重な資料となる作品として後世に残るでしょう。もしかしたらNHKスタッフは、日本の放送史、アニメ制作史のことを考え、そうした意欲、そして義務を感じているのかもしれません。そうだとしたら素晴らしい取り組みだと思います。
舞台は揃った!
さあいよいよ次は作品作りだ!
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