「映像研には手を出すな!」 4話 感想 ~ 理想と現実、激突を超えて生み出された処女作!

© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

さあ、序盤の山場が迫ってきました。
運命の予算審議委員会。ここで作品を出さなければ活動にならない。
しかし、そこに至る道のりで、ツバメのクリエイター魂とプロデューサーのさやかの現実的な思惑が激突?!
こりゃ、大丈夫なのか?

※アイキャッチ画像ならびに本文中の画像は、 © 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会様公式HPより引用しています。

衝突するツバメとさやか。その間で光る、みどりのテク

1か月かけて、たったこれだけ?

黙々と作業を続けるみどりとツバメ。ツバメは慣れないエフェクトの動画に四苦八苦。
そこでみどりがナイスなアシスト。実写を見るのもいいが、「先人の知恵」……つまり様々な作品でアニメーターが描いてきたものを参考にするのもありだと。ただリアルに描けばいいわけでもない、と知るツバメ。一歩前進です。

そこにさやかが乱入。「貴様ら、今すぐPC室に来てください」って……貴様って言葉、場所によっては敬語なんですよね、汚く聞こえますが。

自分で作った作品に色がつく!動く!アニメならではの醍醐味!
© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

PC室でさやかが見せたのは、ここまで彼女たちが作ったアニメに色を付け動かしたもの。実際に動くものが見え、クリエイター2人が喜びの声をあげます。

しかし……約1ヶ月近く時間を費やしてきたのに、完成した動画はたったの4カット分。あっという間に終わってしまう、僅かなものしか完成していない。これでは予算審議委員会に到底間に合わない。さやかがその現実を突きつけました。

そうなった大きな要因はツバメのこだわり。彼女は1カットを延々と描き続けていました。さやかいわく1カットが通常の30カット分の分量になっていると指摘しています。

ツバメはそれに反発。動きをつけていいと言ったはずだと。しかしさやかは、全体の配分を考えろと叱りつけ、30日間徹夜しろと命じます。当然そんなことできるわけがありません。

みどりの演出・撮影テクが炸裂!大活躍です。
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そこでみどりがナイスアシスト!2人が言い争っている間に、演出効果だけでなんと10秒も時間を作り出しました。第3話でも解説した、動かなくてもアニメとして成立するテクニックがまたしても満載。みどりいわく「定番メニューに日替わりを足してマンネリを避ける、人気食堂の手口」ですが、これはいい仕事です!

彼女の仕事を、インパクトがあったと評価するさやか。ツバメも、少しの動画を足すことで納得します。しかしこれではストーリーもなにもない……当然そこにこだわりたいみどりですが、「間に合わないと意味がない!」と一喝するさやか。プレゼンを通して予算を獲得してから好きなものを好きなだけ作ってください、予算審議委員会はハッタリで行きましょう、と言い放ちます。

作品完成にわずかな光は見えましたが……まだまだ前途多難です。

デジタルで問題解決?激しく衝突するツバメとさやか

ちなみに、私は第2話の感想でアニメ遺構的な装置が出てきたので「アナログアニメを作るのか!」と書きましたが、実際の映像研の制作はデジタルでした。これは失礼。
しかし確かに、オールアナログは現実的でないし、何より時間がかかりすぎる。現代の視聴者との乖離もひどいでしょう。本作、思ったよりずっと現実的な作品でした。

その現実的なところを突いて、さやかは「自動中割りソフト」を活用することを提案します。これは原画と原画を描けば、途中のアニメーションをコンピューターが自動で作ってくれるというスグレモノ。これを使えば作業のメリハリがつけられます。

何度も紙をめくり指先の皮がむけるツバメ。知られざるアニメーターの苦労が描かれています。
© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

しかしツバメは猛反発!全部手書きでやると言ったのにと反論します。アニメーションへの強いこだわりがここでも炸裂。彼女にとってコンピューターに頼るのは邪道もいいところ。そんなものを使うのは許せないという気持ちは分かります。
手描きかデジタルかなど見る人には分からない、というさやかの言葉が許せなかったようで、分かる人には分かる!と大きな声で反論し、ソフトの利用に反対します。

とはいえ、現実的に作業は進んでいない。特にツバメの担当部分が遅れているのはスケジュール表からも明らか。さやかは背景は白黒、ここから先の制作は止め、口パク、スライドのみにするようにと命令
当然、ツバメは反対しますが、このままでは完成しないというバッドエンドも理解しているようで……ツバメは激しく葛藤します。かなり厳しいシーンが続きます。

美術部に協力を要請する、という奇策まで持ち立ちしたさやかですが、彼らも同じ目標、予算審議委員会に向けて忙しい。
やはり止め絵と背景のみで……と指示するさやかですが、悩んだ末にツバメが妥協。ソフトを利用する代わりに、肝心なシーンは手描きでいきたいと申し出て、さやかを納得させます。実はすでにソフトの学習も準備も出来ていたさやか。そのさやかを見て本気度が伝わったのか?ツバメの表情が少しほぐれた。

そして予算審議委員会前夜。徹夜で撮影工程を続ける3人娘。時間はすでに4時。
終わったのか?と聞くさやかに、「魂を込めた妥協と諦めの結石が出る」と答えるみどり。ストーリーを捨てて予告編風に仕上げるなんて屈辱じゃよ~、とバンザイしますが、完成させるという目標は達成しました!

強く差し込む朝日。まさに、締切当日にふさわしい風景です。

上から目線の生徒会を、魂の結晶で黙らせる!

生徒会には手を出すな

さて、いよいよ予算審議委員会です。

さやかはクリエイター2人に、口を出すなと指示。「生徒会には手を出すな」とタイトルをパクったようなセリフを口にするさやかには笑いましたが、何にせよ生徒会はさやかですら手を焼きそう。どんな波乱が待ち受けているのか……

上から目線の生徒会。映像研を敵視していて、作品上映どころではない雰囲気。
© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

そしていよいよ、予算審議委員会へ。
謎の盛り上がりを見せる会場内。しかし生徒会メンバーは相当に手強い。映像研の前、炭水化物革命研究会の予算申請はあっさりと却下されました。これはさやかの予想通り、厳しい展開が予想される……

そしてとうとう、審議を迎えた映像研。
が、発表を始める前から生徒会長から物言い!映像研が暴れて学校の施設を破壊しているのは大問題では?などと言い出します。

しかしさやかは、それらは学校側の手落ちだ、不祥事だと指摘し反論。何とかこの場を乗り切ろうとしますが、上から目線の生徒会は映像研を敵視し、話が前に進みません。

映像研の実力が、本気が、全員を黙らせた!

しかしここで、黙っていろと言われたみどりが啖呵を切ります。完成品を見ろ、と。
さやかのハッタリよりみどりの渾身の思いが伝わったか?生徒会長は映像放映を許可することに。

そしていよいよ、映像研の処女作「そのマチェットを強く握れ!」が放映されました。彼女たちの渾身の作品が、公衆の面前で披露されます。

時間をかけた甲斐がありました。作品は、ものすごい風圧感、ものすごい臨場感!まるで戦車が、マチェットを握りしめた女子高生がスクリーンから出てくるかのような迫力に、観衆が度肝を抜かれます。

息を呑む観客!みどりの空想世界が観客をも巻き込んだ!
© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

観衆の、そして生徒会の視線を釘付けにしながら戦車と戦う女子高生。無数の砲撃を浴びながらも崖を駆け上がり、マチェットを握りしめ戦車に一撃!
勝利した女子高生がマチェットを突き上げる印象的なシーンを最後に、映像研の作品放映は終了しました。

彼女たちの渾身の作品。魂を込めた作品。それは確実に観衆に伝わりました。
しかし肝心の映像研3人娘の視線は、作品に向かうのみ。ここをもっとこうすれば……夢中で語り合います。

そうした姿は、敵視していたはずの生徒会にも伝わりました。
「こいつら、予算なくてもやるタイプじゃん」
これは、彼女たちに対する最高の褒め言葉でしょう!

彼女たちの成果物の出来に感嘆し、彼女たちがしっかりと活動していたことを素直に認めた生徒会。次なる活動への期待も、わずかににじませつつ

結果的に、映像研の活動は公式に承認されました!
彼女たちの苦労が、実ったのです!

考えるのは楽しい、作るのは辛い。でも出来上がればすべてOKだ!

想像以上のクリエイター魂を持っていたツバメ。

本作のここまでの魅力と、ここから先の魅力を全部説明したような第4話でした!

前半パートはしんどい場面が続きます。予想通りこだわりを見せるツバメ。1カットにものすごい枚数をかけ、自身が信じるアニメーションを突き詰めようとします。そういう主義のツバメにとってデジタルでごまかすのは邪道。頑として自分のやりたいことを貫こうとします。

部室でも、家でもカットを書いては捨て……きっと体力的にも相当消耗したことでしょう。それでもやりたいことを貫こうとするツバメ。クリエイターとしての意地は、ある意味みどりよりも強いのでは?

一方のさやか。彼女の目には現実的な目標がはっきりと見えています。予算審議委員会に何としても作品を出す。このままでは間に合わない。そのためには妥協が必要だとはっきりと言います。

さあ、ここで大喧嘩です。
自分のこだわりを捨てたくないツバメ、目標を達成するため妥協しようとするさやか。
2人の激しい言い合いが続き、息を呑む展開でした。

手描きにこだわるツバメ。想像を超えた職人魂の持ち主でした。
© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

これがモノ作りの辛いところであり、現実です
構想するのは楽しい。いろんなアイディアが出てきてあれもやりたい、これもやりたい、となる。

しかしいざ作る段になると、楽しいばかりではない。むしろ辛い。
時間が足りない、自分の技術が足りない。ああでもない、こうでもないと細かいところに気を取られては時間は一瞬で過ぎていく。こんなはずでは、と歯噛みをし、睡眠時間を削って体力の限界に挑んでもなお、前に進まない。

楽な創作はなどありえない。まさにそれを描いた話でした。

みどりがいい仕事!監督としての手腕もありそう

しかしこの状況で、みどりはいい仕事を連発しましたね。対立するさやかとツバメの妥協点を探り、提案し、作品を完成へ後押ししました。

私はみどりはクリエイターとして、もっとツバメ側につくかと思っていましたが、なんとしても作品を完成させるという点がブレてなかったのは、さやかだけではなくみどりも同じだったということでしょう。

第1話からずっと、クリエイターvsディレクターという構図は見えていましたが、肝心な場面でみどりが中和剤になるとは。これはやや意外な展開でした。みどり、思った以上に大人かもしれません。

実は監督としての能力もある?みどり。この先の活躍が楽しみです!
© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

そのみどりを支えたのは、これまで培ったアニメファンとしての知識

どうすればカッコよく見えるか?
どうすれば無理のない動きに見えるか?

みどりにはその知識があったのです
それがあったからこそ、ツバメの納得も引き出すことができました。

頑固なクリエイターと現実重視のプロデューサーの間に立つ、監督的な役割を演じたみどり。
この能力が磨かれれば、よりよいモノができそうな予感がします。

完成させること、それが全てを解決する!!

そして結果的に、予算審議委員会に作品は完成した。
プロの目から見れば見るに堪えないものかもしれない。穴が大きすぎる作品かもしれない。
しかし彼女たちは納得させた。観客を、そして生徒会を。彼女たちが苦労に苦労を重ねた絵は、演出は、臨場感特大の作品として観客を魅了しました。そして口うるさい生徒会も、その作品の出来には感嘆の声を漏らしました

これが「完成する」ことの魔力です
完成すれば、結果がついてくる。結果が出れば、チームとしての結束力も高まる。何より、達成感が嬉しい!

全ての苦労が消え、皆が喜ぶ瞬間。
そう、出来上がれば全てがとりあえずOKなのです!

成果物があればこそ、前に進める!それを知ることが、クリエイターには大切です!
© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

もちろん出来については、最後のシーンで彼女たちが延々と議論する通りまだまだなものがあるでしょう。

でもそれも、期日までに間に合ってモノが完成したからこそできる議論
モノが出来なければ、勝負(=予算審議委員会)にすら立てない。もしかしたら彼女たちも空中分解していたかもしれない。それを回避できたのは、モノが完成したからこそ。

ただアニメが好きで、あれこれ議論するだけだった彼女たち。しかし作品を完成させたことで、クリエイターとして次のステップに進むことができました。実際問題、そこにたどり着けず挫折してしまうクリエイターがどれだけ多いことか……

完成すること。
そこから次へ進むこと。
これはものすごく大切なことだと思います。

実在のアニメーターたちも、芸術家であると同時に社会人です。締切に成果物を出せなければお金がもらえない。生きていけない。
理想と現実の狭間で日々葛藤する……ただの綺麗事ではないアニメづくりの現場をリアルで見たように思います。

ただの部活ものから超越した、全てのクリエイターへ、全ての社会人へエールを贈るような作品だなと、改めて思いました!

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