【完結】「映像研には手を出すな!」 12話 感想 ~ 土壇場でラストを改変?!みどりの決断とクリエイター魂!

© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

コメットAに向けた新作「芝浜UFO大戦」を何とか作り上げたみどりたち。
しかし納品された音楽は、その世界観に全くマッチしないもので……?
締切が迫る中、混乱する映像研。みどり、このピンチにどう立ち向かう?!

※アイキャッチ画像ならびに本文中の画像は、 © 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会様公式HPより引用しています。

延期?決行?大揺れの映像研

この曲では納得できないツバメ、締切厳守が絶対命題のさやか

DVDの納品まであとわずかというところで完成した「芝浜UFO大戦」。
しかし、納品された音楽がピアノで奏でられた作品と全く違う雰囲気の曲……?!

ツバメは「デモとぜんぜん違う!」と大きな声を出します。
デモ曲のイメージを元にラストのダンスシーンを心血注いで描いてきたツバメ。これに自分のアニメーションが当て込まれるのは到底納得できない。

曲自体は悪くないものの作品のイメージと異なりすぎる、という思いはみどり、さやか、百目鬼も同じだったようで……

なぜこんなことになった?と唖然とする一同。

この曲は自分のアニメーションに合ってない、納得できない!と叫ぶツバメ。ただ締切の存在はやはり大きく……戸惑いの表情を見せます。
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実はこの曲が送られてきたのは2週間前
みどりや百目鬼はこれをちゃんとチェックしていなかったようで……痛恨のミスです。

この曲は使えない!と叫ぶツバメ。
しかし納品されたのはこの曲1曲のみ。この曲を修正するのは時間的に無理。デモ曲も作品としては使い物にならない。今からフリー素材を使ってもイメージに合わないのは同じ。八方塞がりです。

締め切りまではあとわずか。前回作よりはるかに多くの人を巻き込んで進めてきた今回の作品は、リリース日を延期することも許されない。さやかは「コメットAへの参加は1000%決定事項」と言い切ります。

一同が考えたのは「納品を伸ばす」。とはいえ、先方にも都合がある。ギリギリで今日の深夜まで待ってもらうのが限界。それでも料金が倍になる。予算オーバー、この手は使えないことが確定。残された時間は1時間半ほど。

みどり、ウルトラC!結末を変えて作品を成立させる!

ここでみどりが決断します
この曲に合わせて内容を大幅に変更する、しかもダンスシーンはやめる?!

大胆過ぎる発言に、「今さらなに言ってるんだ、ふざけるな!」とさやかは激怒!みどりをヘッドロックします。
しかしみどりは言います。「このラストでいいのか、と悩んでいた」と。

みどり、土壇場でラストを改変する提案を!ざわつく映像研ですが、その構想は2人をしっかり納得させました。
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彼女の発言の大元には、「共存、調和、和平はありえるのか?」という疑問がありました。
人間と河童……お互いの理念や理想を理解したとしても、現実ではフィフティー・フィフティーなどというキレイな終わり方はあり得ない。平和な世の中でも問題はいくらでも起きうる。2つの社会がほどよく和平を結べる……そんなことはない。世の中、大半は平和ではない、戦いは止まらないのだ、と言い切るみどり。

その構想を実現するために必要になるのは、追加する2カットと編集のための時間。朝までにならなんとかなる……
そういうみどりに、ツバメは「納得できる作品になるの?」と聞きます。
みどりは自信を持って「うん!」と答えました

キレイごとでは終わらない、というラストに納得したであろうさやか。
今よりもストーリー的に締まる、と判断したであろうツバメ。
みどりは2人の説得に成功しました。土壇場で、ものすごい判断力を見せたみどり。これも、世界観の設定に悩んで悩んで悩み抜いた間、土台となるものを積み重ねていたからこそですね!

さあ、そうと決まればあとは動くしかない!
クリエイター2人は手を動かし始めます。みどりは再編集するための絵コンテを修正。ツバメは新規カットを書くためペンタブに向かい合います。百目鬼は新しい音源素材を探しに倉庫へ。

さやかはDVDのプレスを朝までにやってくれる場所を探しにかかります。たどり着いたのは、退学になった写本筆写研究部の面々?!一体どんな手を使ったのか、彼らに朝までに納品すれば希望枚数をプレスすると約束させたさやか。

残りわずか!徹夜で目もうつろな中、クリエイターズ・ハイに突入する!
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あと43分30秒以内に納品ならいける!完徹で目も虚ろなみどりたちですが、むしろ士気は向上?!最後のラストスパートへ向かって一直線……!!

開幕!コメットA。そして作品のラストは?

多くの人、クリエイターで賑わう会場

そして迎えたコメットA。
実際のコミックマーケットが開催されている、東京ビッグサイト的な展示場には早朝から多くの人が詰めかけてます。イベントは予定通りスタートし、さまざまなクリエイターたちが自らの作品を参加者に販売しています。

ビッグサイト的なコメットAの会場。いつ見ても胸躍る姿です。
© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

その中で、映像研もDVDを販売。
狙い通り、ツバメのファンが順調にスペースへ訪れてくれます。1枚ずつ、手渡しで販売していくツバメ。そこそこの調子でDVDが売れていきます。

混雑していく会場。
そこには音撮りをする百目鬼、映像研のスペースを案内し手伝う加島の姿が。さらには視察なのかさかきたち生徒会のメンバーや、様子が気になった教頭、サークルとして参加していたロボ研の小野まで?!教頭は、何のかんので彼女たちのことを気にかけていたんですね。

そんな中、みどりはボーッとしています
自分がここにいる現実感を感じない。見ず知らずの人がお金と引き替えに自分たちのアニメを買うのはなぜなのか……とにかく疲れたのか、そんなことをつぶやくみどり。

一方のツバメは、頑張ってファンに向かって販売を続けます。とはいえ、本心は「純粋な評価がほしい」と思っているようで。

美貌に恵まれ、知名度もある彼女。見てもらわなければ意味がない、というさやかの言葉に同意し広告塔を引き受けていますが、心の底では自分の描いたアニメーションを評価して欲しい、と願っている。彼女の変わらぬ悩み、ブレない姿勢はコメットAでも健在でした。

そこへ、さやかがラストスパートをかける秘策を!
敢えてツバメ(とみどり)の顔を紙袋で隠し、それをSNSでアピール。ツバメが顔を隠してまでアニメを作って売っていると思わせ興味を持たせる……という作戦です。

秘策、敢えて顔を隠す?!「モデルのツバメがそうまでして作りたいものがあるのか?」とファンの好奇心を掻き立てる作戦は、成功!
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それが功を奏したか、ファンがさらに寄ってくる状態に!列が列を作り、DVDの販売ペースが上がります。ダンボールで顔を隠したおかげでみどりも人混みが怖くなくなったか?頑張って販売を手伝います。

そして気づけば、在庫のダンボールには1枚もDVDがない……。
ほぼ同時に、コメットAは閉幕したのでした。

夕暮れに染まる会場を眺めながら、みどりはふと思います。
「自分で作ったアニメ、まだ通しで見てない」
彼女は、さやかとツバメに自分の家でDVDを見ようと提案します。

気になるラストは……「芝浜UFO大戦」上映!

夜。
SNSでも評判が上々の本作を見始める3人娘。ほぼ同時刻に、多くのファン、藤本先生や美術部の面々に加島、さらにはさかきや教頭もDVDをスタート。さて、その作品の出来、そしてラストは……?

映像研に関係ある人も、ない人も、どんな作品なのかと興味津々。その結果は、ものすごい反響を巻き起こします。
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水が豊かな芝浜の街。
人々は街を開発し、拡大します。
しかしそこで突如襲ってくるUFO!建物が次々と破壊される中、芝浜の住人たちも黙ってはいません。兵器を用いて迎撃します。

そこで河童と人間がそれぞれ敵地に不時着し……ここまではすでに描かれた話です。
それにしてもUFOや兵器の動きの細かいこと……世界観が出来上がらない間、ツバメがアニメーション集中してきただけに、ここは予想通りすごいものがありますね!

敵を理解した河童と人間は、大時計と鐘のデバイスを復活させます
当初の構想では、これによって停戦となる、はずでした。

しかし、実際に作成されたアニメでは、鐘の音が復活しても戦争が終わる気配を見せません
その現実を見た河童と人間は、再びUFOと空中兵器に乗り込みます。
しかしそれは相手を攻撃するためではなく、敵を攻撃する味方を止めるため……体を張って味方の攻撃を防ぐ2人。ついに味方にも追い回されることに。

そして燃料が枯渇……
河童は砂浜に、人間は水中にまたも不時着。それぞれ敵の大群に囲まれます
降伏の意を示し、相手に歩み寄る2人
当初は悲しい曲調で作品に合わない、と思っていた音楽も、ラストの雰囲気を大いに盛り上げました。
作品は、ここで終わります。

その日、芝浜の町には作中出てきた建物が何本も
もちろん、現実のものではありません。
作品を見たファンたちが、その世界観に圧倒され取り込まれていったのです。

全てが終わった映像研。でも戦いはまだまだ続く。コメットAで一定の成功を残し、次はどんなデカい仕事をやってくれる?
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「浅草氏の評価を聞かないと」というツバメ。
「だいたい想像つきますが」というさやか。

そして寝落ちしていたみどりは、陽が登ってから言うのです。
「まだまだ改善の余地ばかりだ」、と。

こうして映像研3人娘の活躍は、ここで一度幕を閉じました。
全12話、これにて終了です!

クリエイターに終わりはない!みどりの挑戦はこれからだ

即売会のシーンが嬉しいなんて……

いやー、終わってしまったなぁという感じです!
映像研の3人同様、走りきったな~という思いが強いラストでした!

その前に少々……
作中ではコメットAのシーンが描かれます。実際の同人誌即売会と同様に机を並べ、クリエイターたちが思い思いにその日までに準備したアイテムを展示する同人誌即売会。コミケット参加歴がそこそこ長くなった私から見ても、臨場感があるいい作りでした

多くの人で賑わう会場……今日時点ではとても想像できない、あるべき姿。この賑わいの中にまた立ちたい……今はそう思うばかりです。
© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

それにしても思うのは、「即売会っていいなぁ」ってこと。
これを書いている2020年4月3日時点で、本来であれば5月2日から開幕する予定だったコミケット98は新型コロナウイルスの影響を受けて中止になってしまいました

正直、あるのが当たり前と思っていただけに……喪失感はすごいです。いろいろやりたいこともあったし、会いたい人もいたのですが、それも全部パーになりました。

でも本作の中には、いつもと変わらぬ即売会場があった
そこで張り切るクリエイターたちがいた。

なんだか、これを見たおかげで、ちょっとだけ喪失感がカバーされた?ような気がします。

とにかく完成させる!さやかの厳しさとみどりの意地

それにしても第11話の終わりから第12話の冒頭まではドキドキでした。
納品された音楽が世界観にマッチしないという展開で、3人娘の意見は見事に割れました。

とにかく納得がいかない、これでは自分の作ったアニメーションが意味がない、と叫んだツバメ。ツバメにとってはとにかく納得行く作品をつくることが大切。この状態ならばリリース延期やむなし、と思っていたことでしょう。

さやかはそれは1000%ないと言い切った。過去3作品同様、関係者の調整に奔走したさやか。今回は芝浜商工会という外部の公式組織まで巻き込んだ一本になっている。そういう人たちがいる中、リリース延期は無責任過ぎるし、今後の活動継続に重大な問題が発生すると判断し、フリー素材でもなんでも使って作品をリリースしろと言います。

ここで見事な決着をつけたのが監督のみどりでした
彼女は今あるリソース(映像と音楽)をもとに、自身が引っかかっていたラストを解決する新案を提案。ツバメとさやか両方を納得させました。ギリッギリの状況ではありましたが、2人の、そしてみどり自身も望んでいた期日までの完成を成り立たせたのです

第4話より。みどりはこれまでも、苦しい局面で全員を納得させるアイディアを放ってきました。でも自分自身はまだまだ納得していない。クリエイターとして一番必要な向上心が彼女にはあります!
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思えばみどりが、こうした解決案を提案したのは初めてではありません
第4話、予算審議委員会に提出するアニメ作りの際も、編集で尺を伸ばすというテクを使って2人を納得させています。
彼女は厳しい状況の中で、そうした発想ができる想像力があり、それを実現させる技術を持っている
第12話では、大問題発生時にその能力が生かされたのです。

それでも作品を見て「改善の余地ばかり」とつぶやくみどり
彼女の向上心は、とどまることを知りません。
前作より良いものを作ったら、次作はさらに良いものを!
コミュ障で人と話すのは苦手なみどりですが、クリエイターとしては超一流の向上心を持っているのは間違いありません

その一途な姿勢をずっと見てきたからこそ、次回作ももっと頑張って!と応援したく鳴りますね!

総評:制約の中で「作品」を完成させる難しさ

一貫していた、キャラクターたちの姿勢

彼女のこの姿勢は、そのまま本作の総評につながっていきます

アニメ作りがテーマの本作。
しかし本作が他の「制作もの」と一味違うのは、締切や予算といった制約が1ランク現実的に描かれることです。

特に締め切り。予算審議委員会、文化祭、コメットA……締め切りという大きな制約は、さやかというプロデューサーによって常に強調されます。単に作るのが楽しい、いいものを作りたい、というところにとどまらず、締切という制約がある中でなにをどう作るのか?が本作では常に問われていました。

第8話より。あまりにも個性的過ぎる映像研の3人娘。そのキャラクター性は全12話を通してブレることがなかった。だからこそ、彼女らが難題を乗り越えるシーンが光ったのだと思います。
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それに対するキャラクターたちの立ち位置は、第12話で見えた通りです。
納得するまで妥協なくいいものを作りたいと考えるツバメ。
締め切り厳守、作品をリリースしなくては意味がないと言い切るさやか。
間を取りつつ、作品を良化させる粘りを見せるみどり。

その彼女たちの個性が、厳しく辛い制作のシーンでも徹底して描かれていました。全編に渡るキャラクターの方向性のブレなさは、特筆するべきものがあると思います。

ファンに周知を、クリエイターにエールを!

アニメ作りはビジネスです
文化的側面もありますが、それもビジネスとして成り立って初めて言えること。
ビジネスだから制約があるのは当然だし、その中で利益を出さなければ続かない。
厳しいけれども、それがアニメ制作の現実です。

そうした現実を、本作はファンに惜しみなく伝えてきました
出来にこだわるクリエイターとセールスに徹底するプロデューサー、その間で悶絶する監督。 おそらく現実世界のアニメ作りでも存在しているであろう葛藤を、これでもかと描いた
娯楽として成立した上でアニメファンの知的好奇心を満たした良作だったと言えましょう。

第4話より。クリエイターは来る日も来る日も新しいものを作り続ける厳しい仕事。でも本作は、そんな彼ら彼女らに「もっといいもの作ろうぜ!」と呼びかけているように思えます。
© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

そしてこの作品は、クリエイターに向けても勇気を与えるような作品になっていたと思います。

「現実は厳しい。けども、分かる人には分かるんだ。いいものを作っていこう!」
そんな作り手に向けたメッセージもまた、ビンビンに伝わってくるように思いました。

ところどころでみどりの世界観を具現化させるアニメーションを挟み、ダイナミックに描いてきた本作。
ストーリーだけでなく、ツバメの言う「アニメーション」でも目を見張るシーンは少なくありませんでした

そうした独特の世界観に浸れた3か月……とても楽しかったです!
きっとアニメを見ていれば、「これクリエイター頑張ってるな」と思いながら、本作のことを思い出す……そんな作品に仕上がっていたと思います。

そういう余韻が残る作品に拍手を贈りつつ、本作の総評を締めたいと思います。

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