「映像研には手を出すな!」 11話 感想 ~ みどり、テーマを決定!歩み寄れば人はもっと分かり合える!

© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

コメットA出展作品を製作開始した映像研。
しかし学校側からは金銭授受を伴う活動はNGと言われてしまいました……
さらにこの期に及んでまだ作品のテーマが決まっていない?
難題だらけの「芝浜UFO大戦」、どうなるの?

※アイキャッチ画像ならびに本文中の画像は、 © 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会様公式HPより引用しています。

テーマは未定、学校からの圧力……映像研、苦しい展開

生徒会乱入!派手な警告にもさやかは動じず

納期まであと45日。
この段階になってもまだ、新作の世界観の設定ができていないみどり。
美術部の中村からも「決まってないこと多すぎ!」と文句をつけられてしまいます。うん、この段階でこれは仕方ないわな……

各方面から詰められるみどり。夜、部室を出たところで空を見上げて呟きます。「そもそも、なぜ戦うのじゃ……?」と。

一方、さやかは怪しい相手と交渉をしていました。ディスク制作を依頼している、写本筆写研究部からクレームが来たようです。強面を生かして強気に要求を押して来ますが、しかしさやかが怯む相手ではありません。

そこへ!警備部が突入してきて写本筆写研の部長を確保!続いて生徒会のさかき達がやってきて、彼に退学処分を下します。罪状は学内資金を不正に外部へ流出させたこと。要は学外との見逃せないレベルでの金銭的やり取りがあったということですね。

個人としてはある程度、映像研の面々に理解を示すさかきですが、学校では従来通り、強硬的な姿勢を崩しません。
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さかきは言います。「お前らもこうならないよう気をつけろ」と。前回、さやかとのやり取りで映像研のことを認めたと思われたさかきですが、学内で、生徒会書記という立場にいる以上は容赦しない、という強い警告メッセージだったのでしょう。

もっともさやかは「彼らとは違う」と言い切り動じる様子を見せないばかりか、警備部に破壊されたガラスとドアの費用を請求する度胸を見せます。コメットA参加、本当に大丈夫でしょうか?

そうこうする内に時間は経過します。商工会主催のイベント計画や声優オーディションは順調に進みますが、やはりみどりの世界観設定だけが進まない……

声優オーディション参加者に芝浜を売り込むことに余念がない商工会。しかし肝心のストーリーは大枠が決まらない……
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みどりは部室から脱走し、シナリオを練りに学内を探索します。
するとそこには、前回の会議で責任者として出てきたおばさん教師……教頭が、コスモスの苗を植えていました。途中通りがかったドイツ語研?ともにこやかに挨拶を交わしています。

会議の席上では強硬に映像研を押さえつけた教頭ですが、花を植える姿は普通の優しいおばさん。コスモスの花言葉は調和……敵とは何なのか、と改めて考えるみどり。

そんな観察をしていたら、さやかに捕獲されました(笑)未だにストーリーを決めきれない4流監督、とひどい罵声まで浴びせられます。

その現場は、顧問の藤本先生が。廃車の中で明らかに暇そうにしています。どうやら部活している生徒がいる場合顧問は学校にいないといけないからいるのだとか。残業代も出ない部活顧問はブラックだ、と言いつつも、3人娘の行動にどうこう言うつもりはなさそうな様子。先生のスタンスは初登場からずーっとこの調子で、基本放任ですね。

先生の側にはポータブルゲーム機。これで時間をつぶすつもりの藤本先生は「必要以上に働かない、暇を見つけては遊ぶ」と持論を展開。それを真に受けたみどりは、また校外へと飛び出していきます(笑)

インプットがなければいいアウトプットはできない……藤本先生はずっと温かい目で彼女たちを見守っています。
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そこから水路探検を始めるみどり。進捗もないのに遊びなんて……とさやかは忌々しげに付いていきます。その水路は町の丘の上に通じており、かなりの高低差!さらにそこで謎のタイヤ遊具を見つけ、そこに行き着くために水路をさらに進んでいきます。

さらに進んだ先に、水没した駐車場が?!そこは元道路だったようです。そこに現れた人影を河童か?と盛り上がる一同。みどり、またしても海洋国家群の設定を考えてノリノリです。が、ノリが良すぎて水路に転落!そこはさやかが即座にカバー。相変わらず、口は悪いものの面倒見はいいですね。

翌日、部室に行くと何やら警告の文書が……?教頭から、金銭授受が発生する活動は絶対禁止と改めて通告されました。さらに教頭は、映像研に協力する各部にも個別に圧力をかけていました。

しかもこんな大切なときに、さやかがいない?電話も通じないので、みどりとツバメは彼女の家に行くことに。

みどりとさやかは「共生関係」?2人の出会いと、今

学校に馴染めなかったみどりが体育で組まされた相手は……

さやかの家に行く道中、みどりは3年前のことを思い出します
コミュ障のみどり、体育で2人組になれと言われて誰ともペアが組めない状態に。そこで先生は、余っていたさやかとペアになるよう指示します。さやかの風貌にビビっていたみどり。学校はすぐに生徒同士を仲良しにさせたがる……と心の中で憤ります。憤りつつも、友達は欲しいと思っているみどり。

そんなみどりを、さやかは草摘みに勧誘します。断り方が分からずついていってしまうみどり。言われるがままに笹を採取します。それをさやかに渡すと……なんと1000円の報酬が?!笹の葉を摘んでいただけなのにお金になったと驚くみどり。

出会った直後から口は悪いけど面倒見がよかったさやか。「学校はいやだけど友達は欲しい」と思っていたのは、彼女も同様だったのでしょう。
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笹を売りに行くというさやかに、みどりは付いていきます。道中さやかは言いました。私たちは友達ではないけど学校での共生関係は当面続くだろう……と。共生関係、という言葉が気に入ったのか、みどりはさやかを積極的に手伝います。

さやかが向かった先は小さな日本料理店。笹は焼き魚の敷物につかうと説明を受けます。そこでさやかは店主から一定程度の金額を受け取り、ニヤリ。

そんなこんながあって現在に至るのでしょう。
みどりはさやかを友達ではないけど仲間だと言います。ツバメの両親への説明もそうでしたが、みどりにとっては友達より仲間という言葉のほうが重みがあるみたいですね。

と、そこでさやかから連絡が。風邪だったようです。昨日の川に飛び込んだのがよくなかった?
さすがのさやかも風邪を引いて弱っているとなるといつもの調子が出ません。黙って好物の牛乳を飲むばかりです。

弱っていても、自身の進めるプロモーションがちゃんと進んでいるかのチェックには余念がありません。
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そんな状態ですが、ツバメは教頭からの金銭的活動禁止の張り紙を見せます。ですがさやかは「問題ない」と言い切ります。さやかのPR活動が実を結んで、映像研の活動は、Webメディアなどを通じてすでにかなり話題を呼んでいました。町おこしに参加することで地域密着型ビジネスを学習させる先進的な学校……というイメージをつけさせて世間から称賛を得ていたのです。こうなると学校も反論しにくくなる。前回の感想記事でも触れたように、学校は出まくった杭は叩けないもの。さすがです。

制作を取り巻く外的問題は解決した。肝心のストーリーはできているのか?と病床でも問い詰めるさやか。
しかし!みどりはとうとうストーリーを完成させていました

テーマ決定!でも最後の最後でアクシデントが?!

UFO大戦の最中、敵のUFOが不時着した。中には河童がいました。河童は敵の人間を恐ろしいものと思っていましたが、間近で見る人間は自分たちと、水中生活ではないことを除けば、さほど変わらぬ生活を送っていることに気づきます。

それもそのはず、芝浜ではかつて人間と河童は共生しており、そのためのデバイスとして例の大時計が使われていた。しかしいつしかそれを知る人も消え、人間と河童の交流も途絶えた。

河童との交流を忘れた人間は、あるときから水を埋め立てて河童の生息域を侵し、河童はそれに怒って攻撃(彼らからすれば自衛のための戦争)を始めた……というストーリーにする、と説明するみどり。

同時期に河童に囚われた人間の捕虜も同様のことを考え、河童の捕虜と協力して共生の仕掛けである大時計を復活させ、最終的には人間と河童が再び共生する世界が生み出される……という大円弾を迎える、というもの。

みどりがずっと観察してきたものがすべて詰まったストーリーになっていました!ここまでの無駄な行動は、実は無駄ではなかったのですね!

ギリギリながらも大作が完成した!が、最後の最後でアクシデントが……?
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そうと決まれば後はやるのみ!
さっそくいくつかの追加設定をあつらえ、敵を人間ではなく河童にアレンジする作業を実施。
そこからはどんどん順調に進み、各工程が一気に進行していきます。
結果的には、納期に間に合いました!

さやかはギリギリと言いますが、これまでの2作は、最後は徹夜して間に合わせたもの。それに比べれば進歩だと安堵の雰囲気が流れる映像研。

しかしそこでトラブルが……!ツバメのネット上の知り合いから納品された音楽を百目鬼に当て込んでもらうと、そこには世界観と全く合わないBGMが、しかも一曲だけ……?デモとぜんぜん違う!これじゃ作品台無しじゃない?!

ラス前第11話は、ここで終わります。

多様化の時代に求められる「お互いを理解する心」

みどりの設定したテーマは実に現代的だ

納期1か月前ほど前に、やっとメインストーリーが決定した芝浜UFO大戦。これはなかなかの難産でしたね。多くの場合は先に大きな主題があってそこから細かい設定を作っていくものですが、みどりは細かい設定を積み重ねてそこにストーリーを当てはめていくスタイル。通常とは逆のアプローチ故に、他の関係者からはじれったく思われるのではないかと思います。

悩み抜いた末、彼女が出した答えは「共存」。人間と、敵の河童は、もともとは同じ種族だったものの、時間の経過によりそうした経緯をお互いに忘れ、知らず識らずに人間が河童の生存領域を侵してしまった故に起きた戦争……という設定に決まりました。

これはみどりがずっと観察してきた、多くの人がさまざまな価値観を持っていて、それ故にすれ違う、という普遍的な葛藤を描いたもの。遊びの中からみどりはしっかりと人や社会を観察していたのですね。

芝浜、水辺、河童、埋め立て、そして大時計……みどりが設定したテーマには、これまで彼女が寄り道して眺めていたものが全部詰まっていました。
© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

テーマの「共存」は、まさに現在、いろいろなところで叫ばれている多様化社会(ダイバーシティ)を指していると考えてよいのかなと思います。グローバル化が進み、モノとお金が世界中を行き交う。その中で人の動きも流動化し、否応なしに価値観がぶつかるようになった。現在はまさにその中で双方が困惑しつつ手探りで解を見つけにいこうとしている状況なのかなと思っています。そういう意味では、みどりの思いついたストーリーは実に現代的なテーマと言えます

もっとも、価値観が云々と言いましたが、戦争が始まる大半の理由は「資源」です。領土拡大をすることで自国の経済的繁栄を狙う、という理由がほとんどかと思います。芝浜UFO大戦も、人間たちが自分たちの住む領域を拡大するため埋め立てしたところ、河童の住居が侵害されたら河童が反撃した……という話ですしね。

戦争は「手段」。それ以外の手段があればそれがいい。

もうずいぶん前になってしまいましたが、小林よしのり著「戦争論」(幻冬舎・1998年)では、冒頭で「戦争の対義語とはなにか?」という問いかけを行っています。答えは平和……ではなく「話し合い」です。一方、「平和の対義語は?」という問いかけの答えは「混乱」

それまでは(いや、今でもか)戦争と平和が対になって語られることが当たり前でしたが、小林氏は「戦争は話し合いができなかった場合の政治手段であり、混乱は(多くが戦争によって)平和が破れたとき引き起こる」と述べました。著書が出た90年代は、そもそも戦争について客観的に語るだけでもバッシングされた時代だっただけに、そこに躊躇なく踏み込んでいく彼の言説は非常に注目を浴びました。

戦争の反対語は「話し合い」。話し合いをするためには、お互いのことを理解する気持ちが必要。芝浜UFO大戦のテーマは、実に普遍的なものです。
© 2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

そこをベースに言うと、芝浜UFO大戦では河童が交渉なしでいきなり人間に戦いを挑んでいます。「戦争する前に交渉しろよ」というツッコミもありますが、お互いの生活が共存していた時代がはるか昔であったため、交渉するという前提がなかった、失われていた、という設定であることは作中で示されました。

そして芝浜UFO大戦は、お互いの捕虜が敵のことを知り、相手も自分たちと同じだと思うことで和平への道がひらけていく。これはまさに、「戦争以外で解決するならそれでいいじゃん!」というメッセージだと受け取れますね。

苦難の末に出来上がった芝浜UFO大戦。だけど締め切り直前で音楽に問題……?
最終回にこの大問題をどうクリアするのか、注目です!!

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