「ID: INVADED イド:インヴェイデッド」 4話 感想 ~ 時間がない!生き埋めの少女を救出できるか?

殺人事件を、犯人の無意識に潜り込んで操作する「蔵」。
しかしここまでの事件は、頭にドリルで穴をあける、巨大ビルを爆破と残虐な事件ばかり。
今回の事件も間違いなくハードなものになるでしょう……
毎回、本作の再生ボタンを押すときは緊張します。ホントに。

※アイキャッチ画像ならびに本文中の画像は、 ©ID:INVADED Society様公式HPより引用しています。

生き埋めをライブ中継?!卑劣な殺人鬼、墓掘り

富久田は蔵に交渉を持ちかけるが、戦力外

アバン部分、第2話で逮捕された富久田が、警察は秋人を、犯人の殺意を利用した捜査に協力させている、という推理をぶつけてきます。富久田のIQは150超え。秋人の表情・感情を読み切る高い知能があるのでしょう。なおIQの平均は100と言われます。低いと社会生活に支障をきたしますが、高すぎる場合もまた、社会への適合が難しいとも言われます。

こうした富久田の発言は交渉だったのでしょう。蔵の責任者、早瀬局長は富久田を名探偵・穴井戸としてイドに送り込むことを指示。しかし百貴は抵抗感を示します。それはイドと名探偵を観察する井戸端のメンバーも同じ。
メンバーの1人、羽二重のつぶやきによれば秋人が犯した殺人は、自分の家族を殺した殺人犯への敵討ち。家族のために罪を犯した秋人と、身勝手な理由で殺人を犯した富久田。そんなやつが名探偵になっても、井戸端メンバーのモチベーションは上がりません。
おまけに富久田は名探偵としても全然活躍できず、戦力外となってしまいます

富久田が投入されたのは花火師のイドでした。井戸端は一度構築したイドをバックアップし、再利用することができるのでしょうか?
©ID:INVADED Society

なお、富久田がイドに代打で投入されたのは、秋人が懲罰房に入っていて蔵全体が稼働できていないことが大きな理由のようです。なぜ懲罰房?
これは予想ですが、前回の花火師が自殺した件で、彼が自殺をそそのかしたことの責任を取らされたか。

生き埋めをライブ中継する……鬼畜な殺人鬼・墓掘り

OPとCMを挟んで、苦しそうな少女、菊池桂子の姿が。なんと彼女は生き埋めにされていて、それをネットでライブ中継されているのです。これが今回の捜査対象、墓掘りの手口だったのです。

空気が薄くなる中、自分は絶対に助かってみせるとカメラに向かって健気に宣言する桂子。しかし状況は相当に悪い。
生き埋めは窒息状態が長く続く、相当苦しい死に方だと聞きます。しかもそれをライブ中継とは……あまりにも残虐な手口です。
墓掘りはこれまで6人を同様の手口で殺害しており、桂子が7人目の被害者。警察の無能を指摘するTV。そしてそれをまるで楽しんでいるかのようなライブ中継視聴者。第3話でも見られた、他人の苦しみを娯楽として捉える大衆の姿が、今回も描かれています。

そんな世論を知っている現場の警察官はピリピリしています。蔵の外務分析官、西村が桂子の拉致現場に行くと、彼に対し他の警察官は嫌悪感を隠そうともしません。

桂子は気を取り戻すとすぐに状況を把握しました。それほどに墓掘りの犯行は知られているのでしょう。
©ID:INVADED Society

しかし西村は「警察組織全体が頑張ってる」と口にし、下手に出て軋轢を回避しようとします。彼の性格なのか、それとも蔵のメンバーに対し他の警察官がこういう態度を取るのは日常茶飯事で慣れっこなのか。
何にせよ、この現場ではこれまで特定できなかった墓掘りの思念粒子をワクムスビで感知!イドの構築が可能になりました。大きな前進です。

ビルが火の海!超ハードモードなイドに酒井戸が挑む

墓掘りの事件で初のイド構築。
ここで秋人の出番になります。彼はいつも通り、酒井戸として墓掘りのイドに突入。イドの中では最初にかえるちゃんの死体があるのが通例ですが……今回はなんと焼死体。焼死体はかなりエグいと聞きます……何にせよ酒井戸は、焼死体をかえるちゃんとして認定、彼女の死の謎を解き明かしにかかります。
そして対面のビルの最上階に少女=桂子(の10歳ごろの姿)がいる。酒井戸は、彼女の居場所を目指して行動を開始します。

が、ここからが超ハードモード……!ビルの火災現場となっているイドの中は行き場所がなく、他の扉を開けて捜査しようものならバックドラフト(火災現場で起きる爆発事象)で吹き飛ばされ、ビルから転落。その度に酒井戸が死んでしまう。
しかし百貴は迷うことなく秋人を無休でイドの中に再度投入します。そして、それは何度も、何度も繰り返される……やっている方も、見ている方も相当に辛いシーンが続きます

秋人=酒井戸は投入ごとに記憶が失われます。作中はカットされますが、実際には再投入される度にかえるちゃんの死体を見て、1から推理を始めていく。気の遠くなる話ですし、心理的にもかなり堪える時間が続いたに違いありません。

ほんの少しでも気を抜けば爆発で即死。過去3回の中でも超ハードモードな現場です……!臨場感あふれる爆発のエフェクトにも注目。
©ID:INVADED Society

生き埋めにされた桂子はまだ生きていると気丈な態度を崩しませんが、24時間経ったと本人は思っているのに、実際には7時間しか経過していない。そんな様子をリアルタイムで見ながらの捜査。

時間がない。

それは井戸端のメンバー全員が分かっています。百貴たちは寝ずに捜査を継続。何回も、いや何十回も死亡する酒井戸。惜しいところに行っても死んでしまう。
「私達の仕事は酒井戸の応援ではない」と言い切っていたはずの東郷すら、秋人のことが心配になるレベルの難事件。

そんな中でも、百貴は冷静に酒井戸の投入を指示します。
いや、冷静を装っていると言うべきか……桂子がどんどん衰弱しているのはライブで中継されている。よほどの資質、訓練、使命感がなければこの場面で冷静になれるはずがありません。百貴の焦りがこちらにも伝わってきて、胃が痛くなります

迎えた結末はあまりにも苦かった……

酒井戸、井戸端、粘り強く推理を続ける!

酒井戸は、投入直後から繰り返し、あることに引っかかっています。大火事で焼死体だらけのこの現場ではありますが、ならばかえるちゃんの部屋も燃えているはず。でもかえるちゃんの部屋には火がない。ならばなぜ、かえるちゃんは焼死体なのか

一方、井戸端の若鹿は、墓掘りはこれまで6人を生き埋めにしてきて、その際は思念粒子を残さなかったのに、今回は拉致現場にそれを残していることにかなり引っかかっています。ブツブツとそれを呟く彼。
第1話から彼はメンバーの中で比較的口数が多かった。喋りながら考えを整理するタイプなのかもしれません。

推理担当の若鹿。相当な知能の持ち主だと推測されますが、少しおしゃべり。
©ID:INVADED Society

何十回目のトライなのでしょうか。酒井戸はとうとう桂子のいるビルに突入。彼女の元へとたどり着きます!小さな彼女と話をする中で、彼は気づきます。かえるちゃんはここで焼死したのではない、どこか別のところで焼かれて、死体をここに持ち込まれた、と。
その彼の推理を受けて、若鹿がひらめきます。この事件の犯人は墓掘りではなく、墓掘りの模倣犯が、墓掘りに罪をなすりつけるために起こしたものだと!

そしてイドの中の桂子は、「大野さん」という名前を口にします。10歳のときに桂子の家の近所で自らの家を放火した大野源平
彼女はそれを見ていた。
大野は放火を見た桂子を「消す」機会を伺っていたのでしょう。そこで墓掘り事件に便乗した。なんと卑劣なやつ……!

救えた!という喜びから一転、絶望が……

そこまで判明したらあとは行動あるのみ。外務分析官の松岡と復帰していた本堂町、さらに特殊急襲部隊が大野の家に突入!大野を急襲します。地下の地下に部屋があることを確認した急襲部隊。動画では衰弱しているもののまだ生きている桂子。これなら彼女を救出できる!

しかし、そこには絶望が待っていました
地下の地下にあった樽の中で、桂子はすでに朽ち果てていました。ライブと思っていた配信動画は実は録画だったのです

被害者は助けられず、おまけに本物の墓掘りの調査は進まなかった。

これだけ努力したのに全て無駄だった……なんと苦い結末でしょう……
激怒する急襲隊員。
鎮痛の面持ちを浮かべる本堂町。
そして高笑いを浮かべる大野。
墓掘りほどでなくても、彼の異常さは十分に伝わってきますし、それだからこそ憎い……!

復帰した(俺たちの)本堂町。しかしラストシーンで衝撃の展開が!
©ID:INVADED Society

すべてが終わり、名探偵投入の部屋で語る秋人と百貴。
百貴はそこで彼に確認します。
大野を始めとしたイドの中にいる犯人を殺したいか。
そして自分の仲間という意識がまだあるのか、と。

それに対し秋人は答えます。
1つ目の問いには、犯人たちに対し耐えきれない殺意が湧いてくる、俺には殺せると。
そして2つ目の問いには、それ(仲間意識)が最終的にすがる理性だと

(俺たちの)本堂町がいきなりキスされた

野次馬に囲まれながら、パトカーで連行される大野。
そこで本堂町はある人物を見て、知っている顔だと気づきます。彼を追跡する本堂町。一度は見失いましたが、すぐに彼が本堂町へ近寄ってきます。

彼の名は数田遥。第1話、第2話で富久田に誘拐され、もう少しのところで殺されそうになった被害者でした。

何という偶然……!いや、偶然なのか?
しかも数田は、本堂町に抱きつき無言でキス

え、何が起きてるの?と思ったところで第4話終了。
おいおいおい、続きが気になりすぎるぞ!!

人間関係や組織対立……今後の注目ポイント

百貴の言葉は、個人の感情か、立場上の確認か

秋人と百貴の関係はこれまでも本作の注目ポイントだと指摘してきました。第4話はそこがクローズアップされていきます。

当初、秋人の身を案じずに、イドへの連続での投入を命じた百貴。何かのフラグかと思いましたが、しかしこれは、被害者の桂子が衰弱する中で時間がないため。別に秋人が憎いわけではなさそう。実際、秋人が酒井戸としてイドの中で桂子の元へたどり着いたシーンでは小さく笑みを浮かべています。

そして最後のシーン。百貴は秋人に対し、仲間意識を確認しています。その際のセリフは「お前はまだ俺の仲間だって意識はあるのか」という聞き方をしています。蔵や井戸端ではなく、俺の仲間という主観的な言葉を使っており、自分と秋人という関係に焦点を当てています。その直前には、「お前は間違いなく人間だよ鳴瓢、それは俺が保証してやる」とも。

これをそのまま受け取れば、百貴は秋人へ仲間意識を持っている。彼が起こした殺人事件も、個人としては理解している。
ただ殺人を犯した秋人のことを人間としても弱いとも断じており、危うい状態になっていることを危惧している。
そうした秋人への心情があるのではないかと推察されます。

秋人に仲間意識があると思わせる発言をしていますが、それが真意なのか……?
©ID:INVADED Society

しかし一方、ラストシーンの会話は、すべて井戸端の室長としての確認という取り方もできます
犯人への殺意を確認したのは、イドの中で暴走しないか懸念して秋人の精神状態を確かめるため。酒井戸がイドの中でうまく立ち回り笑みを浮かべたシーンも、笑みというより室長として捜査が成功した安堵とも取れます。
秋人はイドの中で名探偵として捜査できる現時点で唯一の人材。そうした人材を冷徹にコントールしているのではないかとも受け取れるのです。

秋人が百貴に敬語を使う理由は?

一方の秋人。
見た感じ、彼は百貴より年上に見えます。なのに敬語を使っている。第3話冒頭の松岡の話から、秋人は元警察官であったことは分かっています。おそらく百貴とも一緒に仕事をしていたのではないかと予想され、だとしたら敬語はおかしい。

とはいえ今は秋人は警察官でなく、殺人犯として拘束されています。立場がまるで異なる。
秋人はその立場を痛いほど理解しているのでしょう。百貴との会話からはそうした感情が読み取れます。百貴が仲間意識を持っていたとしても、秋人がそこに甘えたり寄りかかったりすることはない。そのあたりからも、秋人の絶望が伝わってきます

秋人のモチベーションは、百貴たちに対する仲間意識か、それとも殺人犯への憎しみか。
©ID:INVADED Society

もっとも、秋人は百貴より年上……と書きましたが、あまりにも精神的に苦しい現場を繰り返し経験し、顔つきが変わっているだけで、実は百貴より年下の可能性もあるかも?

百貴が本当のところで秋人のことをどう思っているのか、逆に秋人が百貴をどう思っているか、ここはまだまだ判断がつかないと言えるでしょう。

組織間の対立は小説の中だけか?

今回ちょっと注目したのは、外務分析官の西村が他の警察官に邪険に扱われるシーンです。
おそらく蔵は他の警察官によく思われていないのでしょう。蔵は守秘義務を重視する組織であることは第3話でも出てきました。現場の警察官からすると、蔵は何をしているのか分からないよく組織であり、仲間として共感できる相手ではないのだと思います。

こうした警察内部の組織対立を描いて有名になったのが、90年代の刑事ドラマ「踊る大捜査線。現場で捜査をする所轄のノンキャリアの刑事と、その現場を理解せずに大所高所から命令するキャリア警察官の軋轢を描き大ヒットしました。「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」というあまりにも有名なセリフは、30代以上の人ならドラマを見ていなくてもよくご存知でしょう。

それ以降、刑事ドラマや警察小説では警察内部の組織対立を描くようになりました。キャリアとノンキャリア、刑事警察と公安警察、警察と厚労省の麻薬取締官(マトリ)、などなど……今や警察ものの基本構造と言ってもいいほどでしょう。
ミステリー作家で本作の脚本を担当する舞城王太郎先生が蔵を警察内部で孤立しているという設定にしたのは、そうしたお決まりの構造を熟知しているが故でしょう。

ただ、こうした警察内部の対立というのは、本当にあるのでしょうか?
元警察官でマンガ「まるごし刑事」の原作を担当した北芝健さんは、キャリアについて、ノンキャリアであった自分は「そもそも住む世界が違う。どうこう思う相手ではなかった」という認識を持っていたと著作などで語っています。「刑事警察と公安警察の対立はかつてはあったが、今は連携も進む」とも。
またつい最近も、ダンディすぎると話題の元麻薬取締部部長の瀬戸晴海さんが、インタビューの中で「メディアが言うような対立はない。警察官には同士意識がある」と発言しています。

これらの話を統括すると、警察内部の組織対立は今はないようだ、という結論になります
民間の小さな会社ですら部署間の対立は往々にしてあるもの。人間の集まりです。おそらくそういうレベルの諍いはあるのでしょう。ない方がおかしい。しかし巨悪を前にすれば、そういう諍いを乗り越えて団結し、捜査に当たっている……と、納税者としては信じたいところですね。

何にせよ、本作では蔵は警察内部で疎まれていることは分かりました。その謎には政治家も注目している。
今後、外部組織が蔵や井戸端へ介入し引っかき回す、展開もありそうです。そこにも注目したいですね。

ジョン・ウォーカーの存在には引き続き注視が必要

そして気になるのは、ジョン・ウォーカーです
第1話、第2話ではあれほどクローズアップされたジョン・ウォーカーですが、第3話、第4話では全く姿を見せていません。ジョン・ウォーカーは無意識に影響を与え、その人物を連続殺人犯にしていると、第2話で東郷は推測していました。それが鳴りを潜めている。

しかしこういう人物は忘れた頃にやってきて絶望をもたらすもの
ジョン・ウォーカーの動向は引き続き注視するべきポイントなのは間違いありません。

注目ポイントがものすごくたくさんある本作。続きが楽しみです!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です