「推しが武道館いってくれたら死ぬ」 4話 感想 ~ 先輩から後輩へ受け継がれる、アイドルとして大切なこと

©平尾アウリ・徳間書店/推し武道製作委員会

第4話では、アイドルグループにつきものの人気投票が出てきます。
それに向けてメンバーの性格が露わになる中で、アイドルにとって大切なことが、先輩から後輩へと伝えられます。
私はこの第4話、ものすごくいいと思いました!

※アイキャッチ画像ならびに本文中の画像は、 ©平尾アウリ・徳間書店/推し武道製作委員会様公式HPならびに【公式】FOD(雑誌も動画も見放題)様Twitterより引用しています。

人気投票!ファン、メンバーの思惑が交錯

3万人の舞菜ファン……?

アバン部分で過去の回想に入ります。
前のグループのことなのでしょう。端っこに暗い表情で立つれおは、人気投票で最下位。握手会にも人が来ない。

しかしそこにくまさが現れ、「次こそは僕が必ずれおを1位にするから」と言い、続いて何かをつぶやきます。意味深なシーンから、第4話がスタートします。

人気投票最下位のれおに、決意の言葉を述べるくまさ。この一言が、第4話の軸となっていました。
©平尾アウリ・徳間書店/推し武道製作委員会

Aパートに入り、いつものコーヒーカフェでChamJamのイベントカレンダーをチェックするえりぴよとくまさ。そこにはなんと、人気投票の告知が。ChamJamでは初の試みのようです。盛り上がるくまさ。

一方のえりぴよは、最初から諦めムード。いつも参加している握手会の人気からいって、舞菜が上位に行ける可能性は低いのは分かっています。
センターになるには、ライブには参加しない全国3万人の舞菜ファンに頑張ってもらうしかない……とつぶやくえりぴよですが、そもそもChamJamのファン自体、300人いるのかすら怪しいのに、3万人とは……。

なおこのシーンで、えりぴよが舞菜のブログに名前を変えて大量に返信している事実が暴露されます(笑)
舞菜は気づいているのでしょうか?多分気づいてるなぁ。

シーン変わって、事務所で人気投票について語り合うChamJamのメンバー。
ここについては、考察パートでいろいろ見ていきたいと思います。

しかし人気投票より前に、まず運動会イベントです。れおは昨年、張り切りすぎて両足を骨折したようで……大変!

舞菜はここでもため息。運動は得意でない様子
空音はテニス部出身なので運動には自信があるのでしょうが、そのせいで他のメンバーから、苦笑的なリアクションを受けることに

第2話の3人組の会話でもありましたが、テニス部ってチャラいという風評被害なイメージがありますね(笑)ガチでやると超辛いスポーツなんですが。

盛り上がる運動会!大切なことが言えた舞菜

そして体育館で開催される、運動会!貴重な体操着姿でメンバーが登場。しかし基は風邪で欠席。くまさは「オタが体調管理を怠った罰」と言い放ちます。この人、オタ活にはストイックで、そこがまたいいよな……。

貴重な体操着!空音、へそ出しルックでいい仕事してる!
©平尾アウリ・徳間書店/推し武道製作委員会

そして運動会スタート!リレーでは文が大活躍を見せます。
彼女にはなんと、ここで頑張って人気投票上位、さらには推し変させてファン数を増やそうという野心が?!しかし張り切りすぎて転倒(笑)でもそこで手を差し伸べた優佳に対し、ファンを増やそうという策略か!と深読みするのは行き過ぎ!優佳は天然だからなにも考えてないだけっぽいですけど。

第2走者は舞菜とゆめ莉。揃って足が遅いようですが、舞菜はえりぴよの声援を受け頑張ります!とはいえ、ゆめ莉に差をつけるほどにはなりません。

しかし問題はゆめ莉。敵チームの眞妃のことを思うあまり、バトンを渡す直前で微妙にスローダウンします

眞妃もこれに気づいたのでしょう。全力で勝負しよう、と言います。自分のことを思って遠慮するゆめ莉のことを気にかけている様子です。
そう言われても、と戸惑うゆめ莉に、負けた方が勝った方の言うことを聞く、という賭けを提案。ゆめ莉もこれで彼女の気持ちに気づいたのでしょう。お互いに頑張ろう、と誓い合います。

リレーは大方の予想通り、空音の圧勝。空音ファンは大歓喜!一方文はやる気を失ったのかリタイア。審判役になっていたれおが代打で登場、足をまた折る、折らないで、会場は謎の盛り上がりを見せます。

盛り上がる運動会!頑張る舞菜にえりぴよ号泣!
【公式】FOD(雑誌も動画も見放題)様Twitterより引用

玉入れ、パン食い競走、借り物競走、綱引き、大玉転がしなど、ワイワイと盛り上がり、運動会は終了。握手会に移ります。

ここでれおとくまさがまた意味深な会話を。アバン部分では音がなかったくまさのセリフ……あれは「僕を信じて」でした。れおはその言葉をまだ覚えていて、「まだ信じていい?」と聞きます。それに対しくまさは「僕はやっと約束を果たせる」と、満足そうな表情を浮かべました
れおとくまさ、強い信頼関係があることを再認識させられるシーンです。

一方のえりぴよと舞菜。
話題はやはり人気投票に。舞菜が1位になってくれれば嬉しい、だから私も頑張ると言うえりぴよ。

そこで舞菜が思い出します。事務所でれおに言われた言葉……それは「ファンを信じてみて」でした。かつてれおがくまさから言われた言葉。その言葉は舞菜へと受け継がれていたのでした。胸アツな展開です!
そして舞菜は、えりぴよに言えました。「いつもありがとうございます」と。普段言えないこの言葉も、えりぴよを信じようとする気持ちから出たのでしょう。えりぴよは爽やかな笑顔でそれに応えたのでした。
でもブログに返信を80件も投稿するのはやりすぎですぞ!(笑)

アイドルのために頑張るファンと、それを信じるアイドル

CD80枚分稼ぐえりぴよ。でもその代償はデカかった

Bパートに変わって、ファミレスでれおの生誕祭に向けて準備するえりぴよとくまさ。爽やかに「いつが最後の生誕になるかわからないじゃないですか」と言うくまさ。彼が言うと、ギャグなのかシリアスなのか。

実はくまさは生誕委員長になっていました。しかしそんなくまさにも、れお推しの他のファンとなかなか友達になれないという悩みがあるようで。トップオタとしてのレベルが高すぎて、周りが遠慮しているのではと思われますが……
なおここで、地味にひどいことを思っているのが基。れおと舞菜のTO2人とつるんでいて、自分もファンの中で浮いていると感じているから、付き合いを考えようとは?!おいおい、そういう奴はどのコミュニティでも軽んじられるぞ!

人気投票に向けて、お金が必要なえりぴよ。いつものパン工場に加え、コンビニ、警備員のバイトまで追加することに。疲労困憊、帰宅途中に川に落ちるえりぴよ。これは第3話の舞菜の妄想に対する返しのネタか?

ChamJamの勢力図。これを覆すためにえりぴよはハードワークを重ねますが、そこで事件が……?!
©平尾アウリ・徳間書店/推し武道製作委員会

何にせよえりぴよの衰弱は誰の目にも明らか。でも彼女はそれより舞菜が最下位になる方が辛いと、バイトを頑張ります。
もらうお金がすべてCDに換算されるえりぴよ。CDにして80枚近い金を稼いだものの……なんとそこでアクシデント!農道で、交通事故に?!
いや、えりぴよを撥ねたのは車ではなく、イノシシでした。岡山市内でも獣害は深刻とつぶやくえりぴよ……ってホントかそれ?と思ったら実際問題、いろいろな注意喚起をしているようです。

骨折し、こんな思いをするのもフリーターだから……会社員の方が金銭的には楽なのに、とつぶやくえりぴよ。
しかしそこでまたくまさが深いセリフを!「会社員はね、休めないんですよ。僕はそれで会社をやめました」と。いやいや!お前ガチすぎるやろ!

でも実際、私の友人にもコミケに出るため、飲食店の正社員を辞めた人がいますので、オタと職業に重要な結びつきがあるのは事実です。

中間発表で舞菜、大躍進!!

生誕委員長としてライブを盛り上げるべく、裏方仕事を頑張るくまさ。そんな彼のことを、みんなが見ていました。最前列に来てください、と大勢に背中を押されます。

そんなファンたちにくまさが感謝しつつ、れおの生誕記念ライブが始まります!いつにも増して全力でれおを応援するくまさ。プレゼントを送ってくれるメンバーたち。そんな姿にれおも涙。ステージから本当にありがとう、と感謝の気持ちを伝えます。
生誕記念ライブは大成功!くまさ、苦労が報われた瞬間です。

中間発表で舞菜、まさかの3位!でもえりぴよがこの調子では……?
【公式】FOD(雑誌も動画も見放題)様Twitterより引用

そして人気投票の中間発表!舞菜、まさかの3位です!えりぴよの80枚が効いたか!

これにはメンバーからも驚きの声が。
そんな舞菜にれおが声をかけます。「ファンの人を信じてよかったでしょ?」と
それに満面の笑みで頷く舞菜。心の中でまた、えりぴよに感謝するのでした。

先輩から後輩へ伝わる「信じる心」

れおの強さは、ファンを信じていることだった

ファンを信じる……その気持ちがアイドルにとってどれだけ大切か。そこを軸に展開された第4話、とても心が温まるいい話でした

今回も、れおに注目してみたいと思います。
人気投票を前にして、舞菜に「(人気投票は)あまり好きじゃないかなぁ」とつぶやくれお。彼女はChamJamのリーダー。握手会人気が一番あるのは誰の目にもあきらか。人気投票も普通に行けばれおが1位になれるはず。

でもれおは前のグループで人気投票の最下位常連でした。そのとき、彼女は暗い顔をしていました。まだ10代、アイドルとしてどう活動すればいいのか分からない、というような時期だったのでしょう。そう、今の舞菜のように

リーダーとして自信を持って活動しているれお。悩んでいたかつての彼女を変えたのは、ファンの、くまさの言葉でした。
©平尾アウリ・徳間書店/推し武道製作委員会

でも今のれおは、自信を持っています。その自信の源は、くまさたちファンのことを信じていること

彼女は、くまさが「今度は絶対1位にするから」と言ってくれたことを、今でも大切にしています(運動会でくまさにすがるような顔を見せたのは、媚を売っているとい深読みするより、人気投票が嫌いで不安だから本当に頼っている、と取っていいと思います)。

その言葉を糧に、彼女は頑張ってきた。ファンのことを信じ、大切にする。そうすればファンが自分を押し上げてくれる。れおにはその成功体験があるのです。これはとても強い。

顧客のために……みたいなフレーズは、どんな企業でも口にすることです。でも、本当に顧客のために活動する企業は実は少ない。顧客あっての企業なのに、です。
自分を支えてくれる相手のために動く。その相手が喜んで、また自分を支えてくれる
文字にすると簡単で当たり前な話なのですか、その当たり前ができる人や組織はなかなかないのが現実です。

ファンを信じ大切にできるれおは、アイドルグループの理想的なリーダーだと思います。

舞菜の幸運は、れおという良き先輩に出会えたことだ

舞菜とれおの関係にも注目したいですね。
人気投票を前にあからさまに元気がない舞菜。誰がどう見ても、舞菜に人気がないのは分かっています。
口はしませんが、「この子に抜かされることはない」と安牌(アンパイ)扱いしているメンバーもいるかも?そしてそういう立場であることは、舞菜が一番わかっています。

かつての自分のような舞菜を支えるれお。こういう先輩に出会えることは、アイドルとして、人生において、幸せなことです。
【公式】FOD(雑誌も動画も見放題)様Twitterより引用

しかしれおは、舞菜を励まそうとした。ファンを信じることが大切だと教えた。

それはきっと、れお自身が前のグループでは舞菜と同じ立場だったから。若く未熟で、人気が出ずに悩んでいたれお。だから今、同じ悩みを抱えているであろう舞菜のことが、放っておけないのでしょう。
その言葉を受けて舞菜は頑張ろうと自分を励まし、えりぴよに感謝を伝えることができました。れおの思いは確実に舞菜に伝わって、彼女の成長を促しています

この2人、本当にいい先輩と後輩ですね。舞菜はこういうリーダーがいるグループに所属できて、とても幸運だった。

アイドルアニメといえば百合描写も楽しみの1つ。眞妃とゆめ莉のようなわかりやすい百合もいいですが、こういう人間としての信頼関係に結ばれた百合が、私は大好きです!

個性的なChamJamメンバーの素顔も見えた

人気投票を前にして、他のメンバーの性格もいろいろ見えてきました。

文は妹的なキャラの割には、センターに向けて野心が全開です。運動会でもいいところを見せて他のメンバーからファンを奪おうとします。まぁ結果的にはそれが空回りするわけですが……
やる気があるのにうまく表現できず、人気がついてこない文。でもChamJamはこういう積極派が少ない。グループ全体の盛り上げのためにも頑張って欲しいですね。

野心が空回りする文。妹系というキャラとのギャップが面白い。
©平尾アウリ・徳間書店/推し武道製作委員会

優佳はあまりやる気がない様子。とはいえ、第3話では積極的にファンにアピールしている様子を見せたところを見ると、内心割と自信があるのかも?えりぴよとくまさの分析でも、握手会に並ぶファンの数は、眞妃に近づいているようですしね。いやでも天然な彼女のこと、本心から出世して面倒になることを嫌がっているだけか?

眞妃はこれといった反応を見せません。クールなキャラクターなのが分かります。彼女の場合、かわいい系の多いChamJamにあって唯一お姉さん的なポジションにいます。ナンバー1は現実的でなくても、オンリー1にはなっているという自信があるかもしれません。

空音は会話の中にいなかったので人気投票にについてどう考えているのか分かりませんが、口調や態度からは、体育会系女子特有のサバサバとしたタイプなのではと予想されます。自分なりに頑張って、出てきた結果を素直に受け入れよう、みたいに考えているのかも。
もっとも2番手というのは実に複雑なポジション。7人の中では上位ながら、上にはれおがいて、1番ではない。体育会系女子だとしたら、やはり欲しいのは金メダル……そう考えると面白そうなキャラクターです。もっと空音の描写をプリーズ!

もっとキラキラしたい、活躍したい。でも眞妃との関係を考えると……実は内心複雑なゆめ莉でした。
【公式】FOD(雑誌も動画も見放題)様Twitterより引用

複雑なのはゆめ莉です。彼女は順位付けされるのがあまり好きではない様子。一般的に女子は順位付けを嫌がります。これが競争好きな男子と違うところ。ゆめ莉の反応が、中間層にいるアイドルの現実的な思いではないかなと推測できます。とはいえセンターになってキラキラした自分になりたい……でもそうなったら、眞妃を逆転してしまうし……そんな妄想してしまう乙女心も。これは複雑ですね。
第2話でも見られたように、眞妃とゆめ莉の関係は、非常にわかりやすい百合描写で描かれています。運動会でもそういうシーンがありましたしね。

先ほども書いたように、アイドルアニメといえば百合。その中で本作は、眞妃とゆめ莉やれおと舞菜、そしてえりぴよと舞菜といったように複数のカップリングを、それも様々な形で描いています。女の子キャラクターがたくさん出てくることを、本作はフルに活かしています。

原作者、アイドル道に精通していると思っていたが、まさか百合道にも精通しているとは……やるな!!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です